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「あ、そういえば、夜先生の家に行くこと覚えてますか?」

「覚えてるよ」

「今日は少し難しいかもしれません」

「…退学のことか」

「もう両親に伝わっていると思うので、怒られてきます」

「わたしも行こう」

「結婚しま〜すって?」

「ああ、わたしも怒られに行くよ、君だけなんて可哀想だ、まあ、行かなくてもいずれおよばれされると思うが」

「と〜っても優しいですよ?あの人たち」

「なら安心だ」

作り笑顔がなっていないようだった。

そして歩くこと三十分。

私の家に着いた。

「大きい家だね」

「でしょ〜う」

二階建てのただの大きな、家。

「お父様は、確か製薬会社の社長さんなんだろう?」

「一応は」

「さて、怖い怖い社長さんとご対面だ」

「今日は会社が休みなのでいると思うんですが」

「今日は入学式だっただろう?お父様はこなかったのか?」

「休みでも仕事する人ですから」

たとえ誰かと会っていたとしても。

「そうか」

二人家の敷地内に入っていく。

「あら、お嬢様おか…」

と、庭の掃除をしていた家政婦が先生の顔を見て一瞬固まった。

「こんにちは」

「あ…ああこんにちは…」

家政婦は顔を赤らめ、聞き取れないくらいの声であいさつをした。

「じゃ〜早速入りましょ〜う」

持っていた鍵で扉を開け、中に入る。

きゃあきゃあいう家政婦たちを無視して先に進む。

すると、一人の家政婦が私に声をかけてきた。

「あの、お嬢様…そちらの方は?」

「あなたには関係ありません」

そっけなく言葉を返して、リビングに進む。

そこで待っていたのは、母親だった。

「お母様、ただいま」

「そこに座りなさい」

おかえりの一言も言わずに、ただ一言を言った。

表情は無機質で、分かりにくい。

「そこのあなたも」

先生にも私と同じ指示を出して、座るよう言った。

「失礼します」

先生も椅子に座る。

「お父様は?」

「…今来るわよ」

「先生、楽にしていていいですよ?」

「…ああ、ありがとう」

「ここはただの家ですから」

「…そうだね」

母も父もたいてい無口だ。

その母親が口を開いた。

「…仲睦まじいのね」

「うらやましいでしょう?」

「ええそうね」

そう母が答えたとき__

「そろったか」

父が来た。

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作者名:aoi | 作成日時:2020年5月29日 21時

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