教えて、悠仁。 ページ18
「んじゃ、帰るわ」
「本当にありがと」
野薔薇が「帰りたい」と言ったので、私達は帰ることとした。ストレートすぎん?
「じゃあ、お邪魔しましたー」
「応、またいつでも来いよ」
「そんなに来るほどあんたに用事はないわよ」
そう言い残して野薔薇と恵は帰って行った。
私は少し気になることがあったから、玄関の前で悠仁と少し話す。
『…ねぇ、悠仁』
「ん、なに?」
『…体調悪かったのって昨日からだったの?』
「…あー…」
悠仁は曖昧に笑う。
その笑顔も、やっぱり困ったような顔で。
…なんでそんなに辛そうにするんだろう。
「体調悪いって言うか…んー、Aには知られなくない」
『…え?』
私にだけ、知られたくない。
それって、私のことだけは頼りたくないってこと…?
『何それ。どういうこと?私にだけ隠したい秘密なの?』
「Aにだけっつーか、なんていうか…ごめん。まだ話せない」
悠仁はまた困ったように笑う。
なんで、そう笑うの?なんで…
『何それ…』
ひどい。
友達だと思ってたのに。
悠仁にとって私は、悩みも相談したくないような相手だったの?
悠仁は、私のこと邪魔だと思ってたの?
『…ごめん。帰るね』
私は涙を堪えながらドアを開けた。
閉めようとしたドアの隙間から、一瞬、寂しそうな目をした悠仁が見えた。
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作者名:紗由紀 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sayukinopurofu/
作成日時:2022年4月29日 21時