押してダメでも押してみろ【宮侑】

08.連絡先 ページ8

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リハビリが終わっても、
侑は休憩時間に医務室に遊びに来るようになった。

別に私だってずっと医務室にいるわけじゃないし、
なんなら体育館にいる方が長いから、

会おうと思えばいつでも会えるんだけど、
侑曰く「2人きりやん」だかららしい。





「Aさーん」

「なぁに」





業務報告書を書きながら、
侑を一瞥すると、いじけたように椅子に凭れかかっていた。




「いい加減連絡先教えてぇや」

「教えたじゃん」

「社用のやけどな！」





いつも胸ポケットに入れてる社用の携帯。

着信履歴はほぼ宮侑で、
LINEの通知もすでに半端じゃない。

侑にプライベートの携帯番号なんて
教えてしまったらどうなるのかなんて結末は分かっている。




「なんでなん？Aさん俺のこと嫌いなん？」




……あ、拗ねた？




声に元気が無くなったように感じて侑の方を見やると、
案の定耳がしょぼん、と垂れていた(幻覚)。





「…嫌いじゃないよ」





報告書を書く手を止めて、侑の方へ体を向けると、

パァアっと顔が華やいで、尻尾をぶんぶん振っている(幻覚)




「フッフ、Aさんが俺のになるまであとちょっとやな！」

「あ、ごめんそれはない」

「即答やめて！せめてもっと悩んで！」






侑なぁ…可愛いけどやっぱり弟みたいなんだよな。



恋愛するならやっぱり年上がいい。

頼りになって甘えさせてくれて、
優しくて浮気なんて絶対しない一途な人がいいなぁ。



ってか侑が私のことが好きな理由が1ミリも分からない。
聞けばいいんだろうけど「顔」とか言われたらキレそう。

そりゃまだ中身知らんからなって言っちゃいそう。





「年下は恋愛対象じゃないんだなー」





ばっさり言ってやると、
口から何か白いものが出てベッドに沈没した。


休憩時間が終わっても動かない侑を、
木兎くんが迎えに来て俵担ぎで運んで行った。







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