21.紛れる ページ21
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「______…なんで?」
「なんで、って…」
少し傷ついたような顔をした侑に、
ズキン、と胸が痛んだ。
「……ごめん、侑のことは好きなんだけど、」
「!」
「私の、問題なの」
「______…それ、どんな問題?」
せめて自分の熱が伝わらないように、
繋がれた右手を離そうと力を込めると、
倍になった力で引き止められる。
「言ってや、納得できん」
鍛え上げられた男性の力に敵うはずなんか無くて。
そうこうしている内に空いた手が私の肩を掴んで、
正面に向き合わされる。
「……自信が、ないの」
「は?」
逃げられないことを悟り、観念して口を開くと、
ぼそぼそと情けない声が喉を突いた。
「……信じられないの。
私にくれる優しさが、愛情が、私だけのものだってことが。
私だけを…ずっと好きでいてくれるってことが…」
無理矢理視線を外して俯くと、
堪えていた涙がじわ、と目頭を濡らした。
侑はただ黙っていて、何も言わない。
______…引いた、かな。こんなネガティブな女。
面倒くさいよね、きっと。
侑には、もっとキラキラしてて、可愛くて、
守ってあげたくなるような女の子が似合うよ。
______…どのくらい時間が経ったのかな。
手を握ったまま、お互い沈黙を貫いている。
はたから見れば異様な光景だ。
す、と胸板を押すと、
握られていた手はするりと簡単に外れた。
「…、じゃ、今日はありがとね、楽しかった」
「…待てや」
侑の制止を思いっきり振り切って、人混みに紛れた。
後ろから侑が私を呼ぶ声が聞こえる。
行き交う人間の隙間を縫って、
時々ぶつかって罵声を浴びながら、
振り返らずにただ駅に向かって走った。
右手に残る熱が、今はただ虚しい。
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オタク女 - ありがとうございます!私今日から二日、三日ほど用事があるのでコメントを休ませていただきます!すいません!帰ってきたら即コメントしますね!♪(^o^)/~~ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 47328f5d91 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - オタク女さん» メアド登録してログイン出来たら小説作るのは出来ますよ〜!(*´˘`*) (2020年11月8日 19時) (レス) id: c0cfdfe5c5 (このIDを非表示/違反報告)
オタク女 - ですよね、、私小説の作り方知らないからなぁ(泣) (2020年11月8日 12時) (レス) id: 47328f5d91 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - オタク女さん» 冬桜さんおはようございます〜!ゆっくりぐだぐだの日なのにすごく早起き…!偉いですね…!シオンくん原作でもあんまり出てこないですからね〜…皆に浸透してないような気はしますよね…笑 (2020年11月8日 9時) (レス) id: c0cfdfe5c5 (このIDを非表示/違反報告)
オタク女 - おはようございます!!今日はゆっくりぐだぐだの日です!私最近シオンくんの小説あるかなーって思って探したら無かったんですよ(泣)出ているのがれんさんの作品だけでして、、シオンくんメインの小説無いかな、、、(泣) (2020年11月8日 7時) (レス) id: 47328f5d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れん | 作成日時:2020年10月12日 11時