押してダメでも押してみろ【宮侑】

19.半歩 ページ19

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秋ちゃんと解散して店を出た後、
適当にブラブラと街を歩くことにした。




「あっ、ここ寄ってええ？」

「いいよー」




侑が指差したスポーツショップに並んで入る。

日本男子の平均身長をかなり上回り、顔まで整っている侑は

普通に歩いているだけなのに、
店中の人間が一度は侑を振り返る程のオーラを放っている。



すいすい店内を進んでいく侑の数歩後ろを歩いていると
あの人カッコいい、なんて言葉まで聞こえて、


心の中で密かに共感しながら、
すれ違いざまに申し訳程度に頭を下げた。




______…分かるよ、その気持ち。




普段ジャージかユニフォームしか見ないから、
私服を見るのも新鮮で。

上下黒でまとめてシンプルなんだけど、
スタイルと顔の良さで成立してる感じ。



なんで日本男子のくせに足そんなに長いのよ。

腰の位置なんでそんな高いのよ。



そんなことをぼーっと考えていると、
ますます彼が私のことを好いている意味が分からない。


さくっと買い物を済ませた(何を買ったか見てなかった)

侑の隣に立つことが、何となく憚られて。




「ん、じゃあ行こっか」

「______…」

「？……何で固まってんの？」




どうしてか怖気付いて、___…半歩、歩幅を遅らせると、
不思議そうに私を見つめる侑の視線とかち合った。




「……んーや、腹減ったなぁって！」

「？そう」





______…絶対、何か誤魔化した。


けれどそれを聞く勇気もなくって、
楽しそうに笑う侑の横顔を眺めているだけで精一杯だった。



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