番外編 : 涙のワケ ページ41
・
「あの…Aさん何かあったんですか」
「翔陽クン、目合ったら呪われんで」
遠くで翔陽と侑の声が微かに聞こえる。
じわ、と目の奥が熱くなって、
溢れそうになった涙をぐっと堪えた。
いやいやいや仕事中やろ、何しとんねん私。
「すみません…ちょっと顔洗ってきます…」
「おー、大丈夫か？」
「はい…」
近くにいたスタッフの田代さんに声をかけて、
体育館を離れた。
…あかんよなぁ、こんな考え。
いくら好きだろうと、
人の人生に口を出すことなんて出来ない。
分かってはいるのに、そう割り切るしかないのに。
どうしようもなく自分が小さく思えて、
また目の奥が熱くなる。
人気の少ない廊下の端に腰を据えると、
頭上から聞き慣れた低く、そして安心する声が私を呼ぶ。
「A」
「！」
今、休憩に入ったんやろうか。
隣にどかっと腰掛けた臣が、
乱暴に、なのにどこか優しく頭を撫でた。
「…俺のいないとこで泣いてんじゃねぇ」
小さい溜息と共に聞こえた言葉に胸が締め付けられて。
次第に嗚咽混じりになってゆく私を宥めるように、
臣の大きな掌がリズムよく背中を叩く。
「…で、何があったの」
「……ぁの、っ、ね、」
「うん」
ゆっくりと口を開くと、
優しい夜空みたいな瞳と目があった。
切れ長の臣の瞳はどんどん丸く見開かれ______
「はぁあああ⁉」
5秒後、響き渡った佐久早聖臣の怒鳴り声。
「いいやんかぁああ！好きやったんやもん生田斗真くんん！」
と、縋り付いて泣きじゃくる島原A(22)。
「オイ離せ、鼻水つけんな汚ねぇ」
「電撃結婚すぎるやろぉお！心の準備何もしてへんかったぁ！」
幸せなのは嬉しいけど！おめでたいけど！
いいんだよ結婚したって！自由だもの！しなさいよ！
でもちょっとくらい心の準備させてよ！
「えっ…Aさん泣いてたのってソレが理由…？」
「せやで、アホやろ」
侑と翔陽の呆れた声。
引っ付こうとする私と引き剥がそうとする臣。
何なん皆して！もっと優しくしてぇや！
「おみぃ〜…」
「っ、ッァア〜…クッソ…」
「！」
臣が顔を赤くして自身の頭を掻き毟った。
かと思えば前髪がさらりとかき上げられて、
額にちゅ、と小さなリップ音が鳴る。
「…忘れさせてやるから、俺だけ見てろ」
額を抑えて言葉が出なくなった私を置いて、
臣は体育館に戻っていった。
…今のは反則、やろ
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しょーゆ - 好きです。もう何十回と読んでますが毎回キュンキュンします。 (8月28日 21時) (
レス) @page23 id: 3bdb915083 (このIDを非表示/違反報告)
そらまゆ🌸🍓 - んにゃー！！！！臣くんかっこかわよい！！！！あ、すみません。コメント失礼します。主さん、このお話、最高です！！！何回も読んでも飽きないです！ (2022年4月30日 19時) (レス) @page45 id: 7272f2ecda (このIDを非表示/違反報告)
葵梗花(プロフ) - れんさん» 詳細をお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: af0a567945 (このIDを非表示/違反報告)
葵梗花(プロフ) - れんさん» こちらの方が半年以上も遅くなってしまい申し訳ございません！！占ツクに戻ってきたのが数日前で、やっとの思いでお返事書かせて頂いております。本当に申し訳ございません。さっそくボードに行かせて頂きます。お返事はいつでも大丈夫ですので、余裕が出来た時にでも (2020年12月26日 13時) (レス) id: af0a567945 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 星蘭さん» コメントありがとうございます！そんなこと言っていただけて嬉しいです…！また番外編も考えてみます！^_^ (2020年10月12日 22時) (レス) id: c0cfdfe5c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れん | 作成日時：2020年4月6日 22時
