33.声 ページ33
・
「Aー、しゃんとせえ」
先輩らと別れ、すっかり眠りこけたAを背負う。
治は銀に肩を借りていて、千鳥足になっとる。
もう時刻は深夜2時を回っていて、
外出歩いとる奴なんか殆どおらんから、
月明かりしかない夜道が余計気味悪くみえる。
「Aどこに連れてくん？家？」
「いや、もう島原のおばちゃんら寝とるやろうから、
俺らも一緒にじいちゃん家行くわ。スマンな、銀」
「んぁ」
「お、A起きたんか」
背中でひょこっと上体を起こして、温もりが離れる。
足をバタバタさせやがるから落っことしそうになった。
ったく、人が背負ったってんのにコイツ。
Aはゴソゴソとポケットから携帯を取り出すと、
おもむろに電話をかけ始める。
マジかお前、今2時やぞ。誰が起きてんねんこんな時間に。
「あー、おみー？えへへ、ごめんごめーん」
やっぱりな、臣くんか。
こんな時間にかけたら、いくら臣くんでもブチ切れるやろが。
「そんな飲んでへんよぉ、あっなんで切ろうとすんのぉ」
Aの声しか聞こえへんけど、
どんな会話をしとるか大体分かるわ。
酔うとるから声がデカい。なんか腹立つ。
「んへへ…えぇ〜？好きやでぇ。臣も言うて？」
「オイA…お前このまま落として道端捨てたろか」
向こうにも聞こえるように態とデカい声で言えば、
Aは驚いて携帯を落としかけた。
なんかクッソ腹立つわ。
俺は聞いたこともない甘い声が、臣くんに向けられてんのが。
Aは従妹で、それ以上でもそれ以下でもないから
その対象が俺やないからって何も思わん。
「はっは、Aかわええなぁ。彼氏にベタ惚れやんか」
「「調子乗らすな！」」
「お、おぉ…スマン…」
さっきまで何も喋らんかったサムと見事に声が揃う。
ほんっま腹立つ。
Aは譲ったるけど、
俺らの従妹泣かしたらただじゃおかへんからな…
……臣くん、覚悟しときや
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1625人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょーゆ - 好きです。もう何十回と読んでますが毎回キュンキュンします。 (8月28日 21時) (
レス) @page23 id: 3bdb915083 (このIDを非表示/違反報告)
そらまゆ🌸🍓 - んにゃー！！！！臣くんかっこかわよい！！！！あ、すみません。コメント失礼します。主さん、このお話、最高です！！！何回も読んでも飽きないです！ (2022年4月30日 19時) (レス) @page45 id: 7272f2ecda (このIDを非表示/違反報告)
葵梗花(プロフ) - れんさん» 詳細をお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願い致します。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: af0a567945 (このIDを非表示/違反報告)
葵梗花(プロフ) - れんさん» こちらの方が半年以上も遅くなってしまい申し訳ございません！！占ツクに戻ってきたのが数日前で、やっとの思いでお返事書かせて頂いております。本当に申し訳ございません。さっそくボードに行かせて頂きます。お返事はいつでも大丈夫ですので、余裕が出来た時にでも (2020年12月26日 13時) (レス) id: af0a567945 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 星蘭さん» コメントありがとうございます！そんなこと言っていただけて嬉しいです…！また番外編も考えてみます！^_^ (2020年10月12日 22時) (レス) id: c0cfdfe5c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れん | 作成日時：2020年4月6日 22時
