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いい大学を出て、
まあまあの企業に就職し、
それなりの恋愛を経て、
妻に出会った。
会社の同僚が開いた飲み会で、
妻が隣に来て話した。
何かのきっかけで、
平凡をこよなく愛している、
と言った妻に心から惹かれた。
妻は旅行や一人飲みが趣味で、
話を聞いていると
出歩くのが好きなようだった。
俺には趣味がなくて、
休みの日は読書をするか、
寝るかのどちらかだった。
妻は、
自分の時間を
楽しく使っている人が
好きだと言った。
どうしても、
妻を手に入れたくて。
───嘘をついた。
夜釣りと
一人キャンプをしていると。
妻が話に食いついて、
俺は釣り好きの先輩や
キャンプが趣味の友達から
聞いた話を、
自分のことのように話した。
自分の知らない世界の話に
興味を持って耳を傾ける妻に、
ますます惹かれた。
やがて
俺たちは結婚した。
まだ若いから、
二人きりの時間を
大切にしようと話した。
子どもは数年後に、と計画して
独身時代の趣味を
お互いに続けながらの暮らし。
俺は結婚と同時に
キャンプ用品と釣り道具を買い、
先輩と友達の使い古しと
交換してもらった。
一生使わない、
これ以上、汚れることもなく、
古びた型になっていくだけの
道具を、
大切に手入れする。
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作者名:クムシラコネルミ | 作成日時:2020年7月13日 9時