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『…でもゆぅやに繋がって良かったぁ』
…そんな可愛い、舌っ足らずな甘い声で言われたら…腰にクるって。
でも心配の方が先立つ俺。
｢ひかるくん、今どこら辺なの？｣
『それがさぁ、ろっぽんぎって魔境なのぉ？さっきからおんなじとこ、ぐるぐるぐるぐるしてんだよねぇ』
…やっぱり。
車運転するクセに方向音痴だからもしかしてとは思ったけど…
これは本格的に色々ヤバいって。
｢ひかるくん、近くにコンビニある？｣
とにかく自力で魔境脱出してもらうより、セーブポイントで大人しく待ってもらうのが一番安全。
ベッドから抜け出すとスピーカーモードにして着替えながら話を続ける。
『駅でしょー、マツキヨでしょー、あ、セブンあるよぉ？』
ひかるくんの説明だけでどこのコンビニか判る自分も嫌だ。
えぇ、どうせ遊び人ですとも。
とりあえずその辺にあったジーンズとシャツを羽織り鍵を手にすると家を出る。
｢ひかるくん、そこのセブンで待ってて。15分くらいで迎えに行くから｣
『ほぇ…？だいじょおぶだよ、ゆぅや。ちゃんと歩いて帰れるからぁ』
…いのちゃんみたいな気の抜けた返答するひかるくんはレア過ぎる。
そして余りにもレア過ぎるからその言葉は信じられない。
多分、俺のこの考えは間違ってないと思う。
｢…六本木魔境、脱出出来ないんでしょ？｣
エレベーターで地下まで降りて車に向かうと、ロックを外してスピーカーフォンに切り替えてエンジンをかける。
『…っ…うん、そぉだけどぉ…』
図星をつかれて口篭もるひかるくんもレア過ぎ。
あー、可愛い。
俺、セーブポイントに到着したらどーなるんだろ？
｢だったら遊び人ゆうやがお迎えに行くまでそこで待っててよ。勇者ひかるくん｣
この時間なら下手に首都高使うよりも、国道の方が早いかな？
車をマンションから出して国道へと走らせながら冗談交じりにそう云うと、嬉しそうな笑い声が聞こえる。
どうやら酔っ払いさんのツボに入ったらしい。
『ん、ゆうしゃひか、ちゃんとまってる！…でもぉ…』
この人が自分を『ひか』呼びする時は、テンション高めの時。
相当酔っ払ってるな、きっと。
口籠もって暫くした後、ポツリと呟く。
『…さみしいからぁ…でんわ、このままいい…かなぁ』
…余りの破壊力の強い発言に、マジにハンドルを切り間違えそうになった。
続く
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越野ユキ(プロフ) - マルセルさん» ご感想ありがとうございました。今多忙のため更新が滞ってますが、落ち着いたら更新しますのでお待ち戴ければ幸いです。 (2020年7月22日 15時) (
レス) id: 0ebc093389 (このIDを非表示/違反報告)
マルセル(プロフ) - お話読ませて頂きました。tkhk好きなので更新楽しみにしてます。 (2020年7月21日 21時) (レス) id: edb9818a29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：越野ユキ | 作成日時：2020年5月2日 14時
