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ペットボトルの蓋を勢いよく開ける。ぶしゅっ、と噴き出しそうなそれをこぼさないよう一気に喉に流し込んだ。
「げほっ。げほげほごほぉぇええ」
「吐くな吐くな」
「吐きませんげどっ、ティッシュくらざい……」
「ったく……ほら」
ユンギオッパが投げた箱ティッシュの角が眉間に直撃してまた悶える。
「ぎゃあああ痛いぃいい」
「大げさな」
「不意打ちのダメージって6万倍らしいねん」
「エセ方言とエセ情報やめろ」
ぢーん！と思い切り鼻をかんでぽいっと投げる。ゴミ箱のふちにも触れずすこんと入った。
「んで？本題早よ言え。忙しいのはお前もわかってんだろ」
「ｻｰｾﾝ」
新曲出せば飛ぶように売れる、まさしく軌道に乗っている彼らBTS。
そんな輝かしい道を歩もうとしているメンバーのうちの一人に、時間をもらって、わざわざ作業室で色恋相談をするのは忍びない。
しかし売れる前から私の相談に乗ってもらっていたので今更変えられないというのが本音。
「また最近デート断られてるみたいで」
「マジ？かれこれ半年くらい経つぞ」
「そんくらい経ちますか」
「何で別れないんだろうな」
「そりゃあ……まだ好きだからでしょうね」
あー喋りながら虚しくなってきた。
私も私だ、もうあいつには彼女がいるというのにまだ諦めてないなんて。
「チャンスあンなら押せばいいじゃねぇか」
「そういうわけにもいかないですよ、……ジョングクの中には、あの子しかいない」
あんなに塩対応――もう本当に、彼女だからとか気を許してるとかってレベルじゃないくらいの――されてるのに、まだ好きでいる。そんな人にどうアピールしたら振り向いてくれるかなんて、皆目見当もつかない。
ズゴー、と終わりかけてるアメリカ―ノを啜ったユンギオッパは、カップを置くと膝に肘をついて手を組んだ。
「俺的にも今の彼女よかお前が付き合ってくれた方がいいと思うんだよな……連絡来ないとかで集中力切れること多いんだよ。特にその、デート断られ始めてから」
「あぁ、確かに」
「お前だったらデート断ることも、プレゼント渡されて素っ気なくすることも、カトクの返信を数日置くこともないだろ？」
「保証します」
「ん。……はーあ、あいつの感情そっくりそのままAに行きゃいいのに」
椅子に寄りかかった勢いでそのままくるーっと回るユンギオッパ。
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作者名：レオレ〇●〇 | 作成日時：2024年1月27日 22時
