6 ページ6
そういや私の職業を紹介してなかったな。
私の仕事は
「アオトさん、8番テーブルお願いします」
「はーい。じゃ、またあとで」
「うんっ！待ってる♡」
ホストクラブの
《VIPルームB、お会計。行ける人よろしく》
「了解です。A、行けます」
黒服である。
お客さん――ホストクラブじゃ姫って呼ばれる――の案内とか、お酒出したりとか、お会計とか。接客以外のほとんど全部をやる仕事だ。
「いつもご来店ありがとうございます、またお越しくださいね」
「ありがとうございますぅ！」
普通ならお見送りはホストの誰かがやるんだけど、何故か私が指名されることもある。
常連の姫曰く、安心感あるかららしい。どゆことなん。
「ふぅ」
「あ、Aさんおつかれっす！」
「おつかれ」
スタッフルームでしばし休憩してたら、No.2のハルが来た。
てか指名入ってたろおぬし。
「何しに来てん？？」
「いやー、エース争いの子が同時来店しちゃって、そりゃもうバッチバチで。気まずくなってトイレの振りして休憩すわ」
「おぅ。LINE営業ちゃんとやってる？」
「片方の姫がめっちゃ気まぐれで……」
「それならしゃーなし。頑張れ、上手くやれば今日だけ売上1位いけるぞ」
「そっすね！あざす！」
こういうちょっとしたケアも我々の仕事。
「ちーす。やってんねえ」
「あ、支配人！お疲れ様です！」
支配人は私を見るなりニヤっとしてきた。この顔は絶対、
「借金まだまだ残ってるけどお仕事変えないの？Aちゃーん」
ほらな。
「変えないですよ、一生かかっても自分を売るつもりないです」
「それは知ってる。だからさ、あえてここでキャストやってみない？ウケるかもよ」
「直近で3件も刺傷未遂起きてる時によう言えましたね」
「おっとそうだった」
葉巻に火をつけたので灰皿を差し出すと、ふっと支配人は口角を上げる。
「そういうとこ、絶対ホステスやれば伸びるのにな」
「お褒めいただきありがとうございます。でも異動はお断りします」
「ふははっ、わかってるよ」
太っとい葉巻の灰を落とした支配人は、いかつい風貌に似合わずやさしく微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 286人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レオレ〇●〇(プロフ) - ゆめさん» 語彙力が消えちゃうほど面白かった…ってコト？！冗談ですすいません😂🙏発狂するほど最高の展開だったということですよね！ありがとうございます！！✨ (11月8日 19時) (
レス) id: fcfeecadee (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - うわぁァァァァ (11月6日 23時) (レス) @page22 id: 7567b9ecd3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レオレ〇●〇 | 作成日時：2023年10月27日 21時
