検索窓
今日:20 hit、昨日:5 hit、合計:22,304 hit

ページ4

そんなわけない、あんたの勘違いだって否定したい。するべきなのに、
なのに、私の口は否定の言葉を紡がない。否定する理由はもしかして私の中には、ない?


「ねぇ、本当は少し気になってるんじゃないの、僕のこと」
「!」


わざと考えないようにしていた、認めたくなかった答えを口にされて驚きと焦燥が顔に出る。
暗いはずなのに私の表情は彼にしっかり見えてしまっていたのか、ジョングクは目尻にシワを作って笑った。


「押しに弱いのかな、Aは。そうなると少し心配。他の男にも同じこと言われてふらふらしちゃいそう」
「そんなことない!あなただからこんなになっ、て……」


しまった、と思った頃にはもう遅い。大きな瞳がきゅっと細まるくらい彼は楽しそうに笑い出す。


「あははははっ、ほーんと可愛い」
「〜〜!」


恥ずかしくて、何も言い返せなくて。勢いよく前に振り向くと、目の前に電柱が迫っていて。
あっ無理だ、と思って目を閉じる。鼻先に来ると思った痛みは一向に感じなくて、代わりに、


「危な……!」


肩に回る腕、背中に当たる体温。ジョングクが私を引き寄せるようにして電柱と激突しないように守ってくれた。


「あ、ありがとう」
「いいえ。まったく、おっちょこちょいだなぁ」


呆れたように笑って体を離してくれた。助けたことにかこつけて抱きしめていたっていいのに。って何考えてんだ私は。


「あー……そんな顔しないでよ。ちゅーしたくなる」
「は!?ななな、何言ってんの!」
「おっと、また!」


勢いよく顔を背けようとしてまた電柱にぶつかりそうになったらしい。ぐいっと腕を引かれて彼の腕の中におさまる。
短時間で二度も同じことを繰り返して二度も助けられてしまった。恥ずかしくて俯いていると、頭上からくふくふと笑い声が聞こえた。


「わ、笑うなっ」
「無理、可愛すぎるもん。本当……目が離せないね」


私から離れたジョングクの顔を見る。じんわり熱を灯した瞳がやけにやさしくて穏やかで、胸の奥がぐらりと揺れる。
正気を取り戻すためにぶんっと頭を振って真正面から彼を見つめた。


「に、二回も助けてくれてありがとう。ここまででいいよ」
「やだ。中に入るまで見送らせて」
「家特定するつもりでしょ」
「不法侵入したかったら英雄の特権使ってとっくにしてるよ」
「…………わかったわよ」


しぶしぶ頷くと、ぱぁっと笑顔になった。それに気分よくしてる時点で絆されてるのかもしれない。
まだ認めたくないけど。

Wednesday→←Tuesday



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
151人がお気に入り
設定タグ:BTS , ジョングク , 防弾少年団
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レオレ〇●〇(プロフ) - 鹿さん» 多くの加護を持つ英雄に対する一種の信頼のようなものだと思っていただければ…淡白すぎますけどね😂(返信遅れて申し訳ないです) (8月13日 0時) (レス) id: fcfeecadee (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 主人公飛んでった英雄に対して淡白www (7月28日 22時) (レス) @page9 id: ff43409288 (このIDを非表示/違反報告)
レオレ〇●〇(プロフ) - 鹿さん» コメントありがとうございます!英雄様のかっこいいところもそのうちお見せできると思いますので、楽しみにしていただけると嬉しいです! (7月26日 7時) (レス) id: fcfeecadee (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 英雄まじで可愛い!! (7月26日 2時) (レス) @page4 id: ff43409288 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:レオレ〇●〇 | 作成日時:2023年7月24日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。