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Tuesday ページ3

ちょっとだけ、と定時後も残って仕事をしていたら、思いのほか時間が経っていたみたい。乗り込んだ電車には人がまばらで、席に座ることが出来た。
それにしても昨日はハチャメチャだった。英雄様のせいで月イチの楽しみがおじゃんになるし。あ、でもお金出してくれるって言ったから今月のお金的には余裕が……いやいや、浮いたと思って貯金するべきだよ、うん。
そんなことを考えていると、窓の外に何かがちらちらと動いてるのが見えた。何だろうと好奇心で見てみる。そして後悔。


「何してんのマジで」


思わず声が出た。だってさっきまで脳内で話題にしていた英雄様がぶら下がってたんだもん。
口をぱくぱくさせて何か話してるんだろうけど何にもわからない。てか危ないからやめてほしい。
声を出したって届かないだろうから、ジェスチャーで何とか伝えようと試みる。ちょっとぶすくれたけど、最終的に窓の上へとカットアウトしていった。よしよし。
…………待って?窓の上??


「おつかれさまー」
「……」


家の最寄り駅に着くと、改札を出たところで何食わぬ顔をして私に手を振る英雄様。
話を聞くと車両の上に乗って着いてきたらしい。やっぱりな。


「何でいるんですか」
「夜道に女性一人は危ないでしょ?送ってくよ」
「話を逸らさないでください」
「ちゃんと答えてるじゃん」
「ズレてるんだよなぁ」


なんて言いながらも一歩後ろをついてくる英雄様を振り切ろうとしない辺り、チョロい女だなあと自嘲する。いや、どんだけ速く走っても振り切れるとは思ってないんだけど。


「ねぇ、Aちゃん。僕と付き合ってよ」
「だから今は誰とも付き合うつもりないってば」


呼吸するような告白に同じく呼吸するように返すと、ふーん?と何やら余裕げな相槌が返ってきた。流石に気になったので足を止めて振り返る。


「……何、その顔」
「いや?それってつまりさ、Aちゃんを“誰かと付き合いたい”って気持ちにさせればいいってことなんだよね?」
「えっ」
「僕自身が嫌なわけじゃないってことだよね?名前も教えてくれたし」
「いや、あの」


ざり、と彼が一歩詰め寄ってくる。思わずあとずさると、コツ、とパンプスのヒールが音を鳴らす。


「脈、あるってことでしょ?」
「そ、んなことは」
「なかったら、名前は教えないはずだよ。Aちゃんはそこまでお人好しじゃないでしょ?」


ざり。コツ。ざり、コツ。一定のリズムを刻む二つの足音。

。→←。



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レオレ〇●〇(プロフ) - 鹿さん» 多くの加護を持つ英雄に対する一種の信頼のようなものだと思っていただければ…淡白すぎますけどね😂(返信遅れて申し訳ないです) (8月13日 0時) (レス) id: fcfeecadee (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 主人公飛んでった英雄に対して淡白www (7月28日 22時) (レス) @page9 id: ff43409288 (このIDを非表示/違反報告)
レオレ〇●〇(プロフ) - 鹿さん» コメントありがとうございます!英雄様のかっこいいところもそのうちお見せできると思いますので、楽しみにしていただけると嬉しいです! (7月26日 7時) (レス) id: fcfeecadee (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 英雄まじで可愛い!! (7月26日 2時) (レス) @page4 id: ff43409288 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レオレ〇●〇 | 作成日時:2023年7月24日 16時

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