🩷狐に憑かれたWWH ページ7
最近の僕を教えてあげよう。
顔がいい？それはそう。だってワールドワイドハンサム、即ちWWHだもの。ん、逆か？どっちでもいいか。
そんな最近の僕だけど、並々ならぬ状況に置かれている。
「はぁい、ソクジン♡あーんして♡」
「自分で食べられるからいいよ……」
いつの間にやら僕の近くにいて。いつの間にやら僕の嫁紛いのことをしているこの――女狐。いや、比喩とかでなくて本当に。
箸を持った手を押して遠ざければ、ぴこっと立った三角の耳ともふっとした立派な尻尾がしゅんと項垂れる。間違いなく神経の通っている器官なのである。
いや、最初は僕も疑ったよ！だけど！！多分感情によって動くし！！試しに触ってみたら「そんな破廉恥な……」って顔を赤らめてくるし！何なの！？
しかも外に出たら周りには見えないみたいだし。ユンギには「ヒョン、疲れてるなら病院行きましょう」って真顔で言われた。
確実にお化けとか妖怪の類なんだろうけど、今のところ危害は加えてこないからほっといてる。
「いっぱい食べてね♡ソクジン♡」
「君が変なもの盛ってなきゃね」
「あらぁ、そんな邪道に走るほど私が自分に自信がないように見えて？」
テーブルに頬杖をついて、こてんと首を傾げる女狐。その美貌は確かに自信を持って差し支えないほどに最高のもの。ま、僕には及ばないけど。
「僕を振り向かせたかったら顔で振り向かせようとするのはやめた方がいいよ。美しいものは鏡があれば十分だからね」
「そんなのわかってるわよ！だからこうしてご飯を作ったりお掃除したりしてるんじゃない」
「それはまぁ助かってるけどさぁ……ていうか何で僕なの？君ほどの美しさなら誰だってオトせるんじゃないの」
キンパを頬張りながら彼女を見た。するとキリッとした綺麗な眉毛が八の字に下がっていく。見た事のない表情の変化に思わず目を丸くした。
「え、ぁ、えっ」
「…………貴方が初めてだったのよ、ソクジン。貴方だけだった、私を見ても罵倒さえせず、石だって投げなかった」
琥珀色の瞳が揺らいだかと思うと蜂蜜のような雫が頬を滑る。
僕の手が反射的にそれを拭ったのは仕方のないことだ。どんな人であれ、誰かが泣いているのを見るのは苦手だから。
「ソクジン……？」
「女の子が泣いてるの見るのは苦手だからさ」
「くふふっ、私、女の子ってほど幼く見えるの？」
ーーー
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作者名：レオレ〇●〇 | 作成日時：2023年6月16日 16時
