ばんたん短編集 (ページ23)

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💛この世界にたったのページ23

僕の誕生日が終わる30分前。
［道に迷いました。助けて］と出てきた通知に驚いて走り出した。

Aは僕の恋人。高校二年生の日本人。わぁ待って！まだ殴らないで！
きっかけはサイン会。僕を見るなり瞳をキラッキラにして「……かっこいい」と、吐息混じりの一言に心の臓を撃ち抜かれて無事一目惚れ。サインを書きながら話をしていたら、すごく純粋で真っ直ぐな子だと知った。スタッフに見つからないようにササッと電話番号を書くと、その夜に彼女から電話がかかってきたのが始まり。

もちろんそれ以来会ってないので手を出すことなどできない。
そんな彼女が、修学旅行で韓国に来るらしく、しかも僕の誕生日に滞在しているということなので会う約束をしていた。

そして冒頭に戻る。
ソウルの夜の治安はそんなにいいものではない。早く見つけないと……！
連絡を取りながら彼女がいるだろうところに走る。
公園のベンチでぽつんと座っているAを見つけて駆け寄った。

「A……！」
「あ、オッパ」

抱きしめた時に触れた彼女の頬は冷たかった。どのくらい外いたんだよ。

「よかったぁ……」
「ごめんね、オッパ……あ！は、離れて！どこで誰が見てるか……！」
「大丈夫、あんまりしない格好してるもん」

体のシルエットが出る服が好きな僕は、今日のためにメンバーから服を借りた。堂々と彼女に触れたいから。
しばらく抱きしめあっていたら、Aの足元に置かれた小さな紙袋が気になった。

「それは？」
「これ、プレゼント……上手くできたかわからないけど」
「開けてもいい？」
「うん！」

中に入っていたのは、手乗りサイズのチミーのぬいぐるみ。ステッチが不揃いだったりバランスがちょっとアレなところから、手作りなのかなと察する。

「作ったの？」
「うん。気持ちを込めた。……重い？」
「いや全然！世界で一つだけでしょ？大事にする」
「ふふふ、ありがとう。改めて、センイルチュッカヘヨ。世界に一人の大好きな人」

ふわっと綺麗に笑うAがあまりにも可愛くて綺麗で。思わず抱き寄せてキスをした。

「ん、」
「もう一回、」

またしばらく、年単位で会えないだろうから。その分沢山キスをした。

「あー、戻りたくない」
「馬鹿。流石に手出さない自信ないからダメ」
「むぅ」
「世界に一人の僕の恋人だもん、大事にしたいの。また遊びにおいで？今度はデートしよう」
「うんっ」

世界一の最愛に、キスをした。