ばんたん短編集 (ページ22)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:10,585 hit

💙証明ページ22

冷たさを感じて目を開く。視線を下にすれば、足首まで水に浸かっていた。
紫色に染まった空と海は何処までも続いてそうなほど広い。

真っ直ぐに、進む。何故だかわからないが、歩みを止めてはいけないと思った。

ちゃぷ、ちゃぷと歩く度に水面が音を立てる。歩いても歩いても、海底は浅いまま。
あ、これ夢か。そう思った瞬間

「夢じゃない」

いつからそこにいたのか。目の前に立った少女は白い長袖のワンピースを身に纏い、腰まで伸びた髪を潮風に靡かせている。

「私は、代弁者。貴方への贈り物を届けに来た」
「どういう、こと？」

そう聞くと、まずは見てくれと言わんばかりに天を指した。
星空。きらきらとその場で瞬いてる星、一定の軌道を描いて流れている星、小さく控えめに輝いてる星。全てが美しいものだった。

「人が人から受け取れる感情には限度がある」

ちゃぷ、と音を立てて少女が僕へと歩いてくる。星は海にも浮かんでいた。

「ここは、貴方が受け取れ切れない感情を保管している場所」
「受け取れ切れない感情……」

きっとそれは悪いものも含まれている。けど、この光景を見る限りいいものの方がより多いはずだ。

「世界中のarmyたちの思いかな？」
「正解。……これだけの空間にいて平気ってことは、大丈夫そうだね」

穏やかに微笑んだ彼女は手を広げて目を閉じる。

「誕生日おめでとう。これは世界から貴方への贈り物。一年に一度くらい、君の両腕から零れてしまうはずの感情(愛)を抱きしめてあげて」

その言葉を聞いた瞬間、空に海に浮かんでいた星が僕の目の前に集まって白く輝くシルエットになった。
綺麗。
僕の目の前にあるこれはきっと、armyたちの純然たる愛情だ。抱きしめると胸の内まであたたまるような熱を感じた。

「ありがとう、army。これからもずっと幸せでいましょうね」

遠くで不快な電子音がする。でも、行かなきゃ。

「またね、army。と、代行者さん」

彼女らが微笑んだのを最後に、僕は目を覚ました。

ーーーー
なむさんはぴば2023！
夢小説って何だっけ。ですね。一応イメソンは存在します。

彼が純然たる愛情をずっと抱きしめていられるように尽力していきたい所存です。