俺の専属マネージャー。２

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「すっごく素敵な、
京懐石のお店で、
お豆腐の味噌田楽食べてました。
めちゃくちゃ美味しかったです」


はきはき答えたつもりでいたのに。


「・・・もしかして、酔うてんのか？」


なぜか、ばれた。


「どうしてですか？」


「呂律おかしいぞ。
ヨコは？
何してんねん」


「横山さんも一緒です。
監督さんと主演俳優さんに誘って頂いて・・・」


「・・・」


電話なのに、渋谷さんが黙り込むから。


困った。


京都の冬は寒いはずなのに、
酔ってるせいかあんまり感じない。


何を話せばいいんだろ。


律子さんに・・・


私のことはからかっただけって言ったんじゃないの？


本当に聞きたいことなんて言えるわけないから。


「ここは月が綺麗です。
何色って言うんだろ・・・」


そう言ったのに・・・


「何色でもええわ。
はよホテル帰れ」


いらいらした声で被せ気味に言ってくる。

ひどい。


「途中で抜けたり出来ません。
仕事ですから」


「お前、酒ついだりしてへんやろな」


「したらいけないんですか？」


「・・・」


また沈黙。


こんなに離れてても、不機嫌なのが伝わる。


せっかく電話くれたのに・・・


彼氏彼女として付き合うって、
私にとっては、

夜寝る前に一日にあったことをお互いに楽しく報告し合ったり、
休みの日には行きたいところに出かけたり、


そういうことだ。


渋谷さんにとっては違うの？


「律子さんに、
私のことは気まぐれにからかっただけって言ったんでしょ？
だったらどうして電話してくるの？
もう切る。
仕事中だから」


こんなの、拗ねてるだけ。


見え透いたことして、
どこにでもいる浅はかな女だって分かって、
渋谷さん、きっと呆れる。


そう思ったのに、


「ちょ、待て。
ごめんて。
まだ切るなや」


電話の向こうから、すごく焦った声が聞こえてきた。

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