俺の専属マネージャー。２

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「ごめんなさい・・・」


泣かないようにするだけで精一杯で、
それでもやっぱり喉が詰まる。


叱られると思ってたのに。


「お前、ケガしてるやんけ。
こんなとこまで落ちれるて。
なんでそないどんくさいねん。
ほんま、あほか」


言葉は乱暴だけど、
渋谷さんが、
私のこと、優しい目で見つめてる。


吸い込まれてそらせなくて、
私もじっと渋谷さんを見つめてた。


「お前、もしかして熱あるんちゃうか？」


音もなく、私のおでこに乗せられたひんやりした手のひら。


「なんで無理するねん。
ほんまのあほや」


「何回もあほって言わないで」


「あほやからあほって言うてんねん。
ええから、はよ、つかまれ」


このひっそりした山の中で、
二人だけでいたかったなんて・・・

そう言ったら、笑うかな。






渋谷さんにおぶわれて、
山道を下る。


「お前、見た目よりだいぶ重いやんけ」


渋谷さんの綺麗な声が奏でてるのは、
そんな文句だけど。

ゆらゆらしてる振動が、
すごく心地良い。

こんなに誰かに心を預けて、
甘えられたのは、
いつぶりだろう。


もう何年も昔、子供の頃以来だ。


母が亡くなってからは、
いつもどこか強がって、
虚勢を張って生きてきた気がする。


「なんであんなとこ落ちてん。
うまそうな果物でもなっとったんか」


「そんな食い意地張ってません。
ガラス細工、落としちゃったから・・・
拾おうとしたら転んじゃって」


「あほやな。
そんなもん、また買うたるのに」


「そういう問題じゃないもん」


渋谷さんが買ってくれたのは、
この、カナリアと虎だけだから。


「ほんまに、それでケガしてたら、
意味ないやんけ。
俺が腰いわしたら、お前の責任やからな」


「いわしって何ですか？」


「おまっ、日本語も通じひんのか？
さては、真っ黒な汁のそばをうまいとか言うタイプちゃうやろな」

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