俺の専属マネージャー。

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「今度の木曜、Aの誕生日。
少しでいいから、会えないかなって・・・」


達也から、
思ってたのと反対の言葉が返ってきて、
ほっとした。


「うん。大丈夫。
その日だけはチーフが休みくれてるの。
でも達也は？
平日、休めるの？」


「俺もその日だけは午後から半休取ったから。
久々に、あのイタリアン、行かない？」


「うん。分かった」


通ってた大学の近くにある、
バイト先のイタリアンレストランで、
私たちは出会った。


「予約しとくから。
ごめん、仕事中に」


「ううん。
電話、嬉しかった。
今日、ものすごいミスしちゃって。
落ち込んでたの。
久々、辞めたくなるくらい。
でも話せて元気出た。
ありがと。
じゃあ・・・
仕事戻るね」


電話を切った時、
ずっと我慢してた涙がこぼれ落ちた。


渋谷さん、怖かったな・・・

きっとまだ怒ってる。


あれから一言も口聞いてくれない。

これならいつもみたいに、
意地悪言われてる方がよっぽどましだ。


確かに失敗した私が悪いけど、
反省してるのに、
相手は私より９歳も年上の大人なのに、
あの態度はひどい。


って思うのも、
今の私にはおこがましいか。


渋谷さんの怒りももっともだし。


「あああ。自己嫌悪・・・」


ひとりごと呟いて、振り返って、
息止まるかと思った。


控え室に行ったはずの、
渋谷さんがそこに立ってる。


「ひぃっ」


思わず、のけぞっちゃった。


「俺はお化けか」


また舌打ちされた。


「渋谷さんが音もなく現れるから・・・
すいません」


「なあ、さっき誰と・・・」


言いかけたくせに、途中でやめて。


「お前、失敗したからって、
辞めようとか安易に考えてへんやろな？」


気迫のこもった声で聞いてくる。


ほんっとに怖いんですけど。

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