俺の専属マネージャー。

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渋谷さんと沙百合さん、今もお友達って、どういう意味だろう。


おトモダチ、そんな風に聞こえた。


頭の中でエンドレスに律子さんのその声がぐるぐるしてる。








スタジオに戻ったら、

ちょうど渋谷さんが歌ってるのが、
真っ白なドア越しに聞こえてきた。


次のシングルの同時収録曲。


今時な新しくてコミカルなサウンドで、
歌詞だけが昭和歌謡風。

アンバランスな感じが、私は好み。


廊下で聞いてたら、


「俺に惚れちゃあいけないぜ。
君が籠の小鳥なら僕は森に住む虎。
その気になれば一飲みさ」


そんな歌詞が聞こえてきた。


渋谷さんの抑えめに歌う声が好き。


廊下で聞いてたら、
安田さんが、向こうから歩いて来るのが見えた。


今日も派手派手な洋服に身を包んで、
差し入れらしいドーナツの箱を持ってる。



私を見て、明るい笑顔になって、
駆けて来てくれた。


中で音楽がやんだ。


次は安田さんの番みたい。


「安田さん、昨日はありがとうございました。
あんな高いもの、頂いて良いんでしょうか？」


ピアス、迷ったけど、
つけずに来てしまった。


「ポケットに入れたん、気付いてくれたぁ？」


安田さん、私の質問には答えずに、にこにこ笑って聞く。


「気付きました。
でも・・・」


「・・・気に入らんかった？」


悲しそうに聞くのはずるい。


「いえ。すごく可愛かったです」


「やろ？
Aちゃんに絶対に似合うと思ってん。
今度、つけてるとこ見せてや？」


安田さんがそう言った時、
ドアが開いて渋谷さんが出て来た。


「あ、俺の番や。
行くなあ？
Aちゃん、約束やで？」


安田さん、無邪気な笑顔で言って、
私の肩を叩いて、中に入って行った。


「何が約束なん？
ヤスになんかプレゼントもろたんか？」


聞かれたけど、いじけてて答える気になれない。


沙百合さんのこと、私に嘘ついてたのに・・・


「可愛いピアスです。
でも渋谷さんには関係ありません」


意地を張った言い方しちゃった。

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