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「すっぽかすの初めてだわ・・・」
この発言について深く考えない方がいいと思いつつも、どうしても考えを止めることができなかった
初めて・・・すっぽかす・・・
誰しも初めてってあるよねー
でも、それ今言う必要ある??
私以外の彼女はすっぽかさなかったんだ
ぐるぐると黒い感情が動き始めるとと共に体はカーッと熱くなる
私のことどうでもいいと思ってるのだろうか、、
せっかく会えるのに寝坊して、、
なるせの家の前で待っている間、何度も視界が揺らいだ私の気持ちをポイッと捨てられた気がした
.
そっか・・・なんか、もういいや
帰ろ。なるせ元気そうだし
思い立ったら黙ってスマホをいじっていた
その様子の変化に3人は何かを感じ取ったのだろうか、会話をやめ、私のほうをうかがっていた
『あの、、なるこさん?』
恐る恐るといった感じでめいちゃんに話しかけられた
いけない、つい真顔になっていた
笑顔を顔面に貼り付け、できるだけ明るく「なに??」と返した
『Aさん、何検索してるんですか?^^』
とチラッと私のスマホを覗くあらきさん
「んー、タクシー」
「え??」
「帰ろうかと思って」
『『「!!!?」』』
「すっぽかす前提で合鍵もらっても嬉しくないので^^」
今できる100%の笑顔でそう告げ、探し出したタクシー会社の番号をタップしようとすると、ぎゅっと横から手を握られた
ん??と思いその手の先を見ると、あらきさんがあっ!!と驚いた顔をした
『あぁ!あの、帰るなら送ってくんで、ちょっと待ちましょう』
『ちょっ!あらきさん、何言ってんすか!!
いや、なるこさん、ちょっと落ち着きましょ』
慌てている3人を見ながらも、
私は至って冷静だ。どう落ち着けと?という顔でみんなを見ると大人しくなった
「ごめんね。今一緒にいても楽しくないと思うから」
「ほんっとごめんなさい!」
「うん^^ 寝坊のことはね、怒ってない」
「はい・・・」
「歴代彼女ですっぽかすのは私だけってさ・・・なんか、やだよね〜^^・・・・・・」
『『「・・・・・・・・・」』』
「それで合鍵渡せって、、」
今まで頑張って作ってきた笑顔も崩れ、ここまで堪えていたものが溢れてきた
こんなのすごいやだ
こんな顔見られたくないし、でも止めることも出来なくて、今度は私が項垂れた
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作者名:カニカニハンマー | 作成日時:2021年11月30日 19時