俺に懐いてる後輩がいるんだが

プロローグ ページ1

tnside





俺が務めているのは至って普通の会社だ


特に何かに秀でた訳でもなく、本当にただの一般企業





あの日は会社に行く途中だった


ふと上を見上げると、桃色の何かが目に止まった




｢桜、か｣





季節は春



桃色の花は満開に近いほど咲き誇り所々隙間からは綺麗な水色の青空が見える


雲ひとつない綺麗な日





別れと出会いの季節とはよく言うものだ





俺の会社も今日から新入社員が来る





俺も先輩なので色々教えてやらんといけないし誰かの担当にならんとあかん




｢俺の所の子、仕事出来るやつやとええなぁ｣




そんな独り言を空を見上げぽつりとつぶやく


俺は空を見上げて思い出しポケットに手を突っ込み、入っているスマホを取り出す




せっかくだから写真を撮っておこう




最近は満開に近い桜なんて見てなかったから撮ろうと思いスマホを掲げ写真を撮ろうとした瞬間




突然強めの風が吹く



桜の木はゆらゆらと揺らめき
風に乗り桜の花びらが舞い散る



それはまるで映画のワンシーンのようだった




その光景はあまりにも美しく



唖然としてしまった




｢『綺麗』｣




言葉がハモった




びっくりして、声のした方を見ると一人の男が立っていた


少し派手な金髪
瞳は海のような青い瞳
少し長めのまつ毛
男はスーツを着ている




一瞬男なのか疑うほど整った顔



しかし、身長やガタイの良さを見ると男であることが分かる




『え、っと


俺の顔になにかついてますか？』





その言葉にハッとした



突然振り向き、自分の顔をガン見されたら不審に思うだろう



｢あ、いや

すんません
言葉がハモって誰かと思って.........
そしたらこんなかっこいい人やと思ってなくて｣



男は驚いたような顔をしていた
そしてすぐ微笑み俺を見る



そんな顔に少しドキッとした





ドキッ？





............なんでや





これが、俺とあいつ




東雲Aとの出会いだった

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