073 探す ページ24
『無理だけはしないでくださいね』
送迎用のバンから降りる俺に
その言葉だけを伝えて去って行ったマネ
言いたいことは他にたくさんあったと思う
でも、俺の性格を熟知しているマネは
それ以上は言わなかった
それ以上言わなくてもわかってくれてるって
信頼もあると思う
でも、今の俺は…
マネの言った言葉を
いつもの様に受け入れることができない状態だった
君のことが心配で言葉は聞いていたけど
そんなの…俺の勝手だろって
そう思いながら去ってく車を見つめた
『いてくれよ』
そう望んだ俺の願いもむなしく
俺の部屋には君の痕跡はなかった
『なんで、いねぇんだよ』
部屋の扉を開けて必死に探したけど
君は見つからない
玄関に君の靴は無かった
だから、君が俺の部屋にいないのは
初めからわかっていたはずなのに
いてくれって願う気持ちが
俺を諦めさせてはくれなくて
深夜にもかかわらず
バタンバタンと大きな騒音を立てて探し回った
『はぁ、やっぱ、いねぇか…』
全ての部屋での捜索を終えて
俺の部屋にはいないってやっと納得する
『どこだ…どこに行ったんだよっ』
急いで玄関に戻って
投げ捨ててあった鞄を引っ掴み
下駄箱の上の家の鍵と車の鍵を掴んで
外に飛び出した
清水『櫻井？』
櫻井「見つかった？」
清水『まだなんだ…』
車内に響く友人の声は
焦りを感じる音色を滲ませたままだった
部屋を飛び出して向かった先は
マンションの地下にある駐車場
指定された場所に止めてある愛車に乗り込んで
ナビと携帯電話を連動させると
目的地もわからないままアクセルを踏んだ
櫻井「そっか…」
望みと違う答えが予想通りに返ってきた
清水『あぁ、マジで、どうしよ…』
櫻井「どうしよって…どうすんだよ…」
清水『はぁ…』
彷徨うように車を走らせながら
君との数少ない思い出を思い出していく
君と初めて会った居酒屋
手料理を振る舞ってくれた俺のマンション
櫻井「あっ…」
清水『えっ』
櫻井「あそこかも」
清水『えっ、どこだよっ』
櫻井「…公園…」
清水『公園って？どこのだよっ』
櫻井「海の見える公園」
清水『海？』
櫻井「いる…あの公園に…」
温もりを分かち合った公園
あの公園に君はいる
寒さに凍えきった
身体を…
心を…
一人で温めることのできない君が
一人で泣いてる…
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さとみか(プロフ) - はじめまして。しばらく更新されていらっしゃらなかったので待ち焦がれていた更新についコメントを残してしまいました（；＿；）夜桜さんの書くお話が大好きです。お忙しいとは思いますが、これからも楽しみにしています。 (2018年1月26日 18時) (
レス) id: ff0f8b6ad6 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - soraaさん» お返事が、大変遅くなり、申し訳ございませんでしたm(__)m更新も、滞っており、重ね重ね、申し訳ございません＾＾；；ドキドキできましたか？そういっていただけると、とても嬉しいです♪更新スピードは上がらないと思いますが引き続き、よろしくお願いしますm(__)m (2016年3月7日 16時) (レス) id: f4d923564a (このIDを非表示/違反報告)
soraa(プロフ) - 初めまして。昨日、このお話を見つけて一気に読みました。切ないけど、ただ抱きしめあうだけでもドキドキします。翔くんの想いが通じるといいなと祈りながら読んでます。続き楽しみにしています♪ (2016年2月28日 21時) (レス) id: e7c909fbb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜
| 作成日時：2015年4月22日 19時
