052 わかってたこと ページ3
A「…っ…翔…くん…？」
君の戸惑う声が耳元で聞こえる
この前、君を抱き締めた海の傍の公園
君を車に押し込んでここまで連れ去ってきた
自分の気持ちを自分の中で処理できなくて
言葉を発することが出来なかった
運転に集中している振りをする俺を
君が助手席からチラチラと伺い
不安そうな空気を感じたけど
何も言わずに…何も言えずに…
ここまで君を連れ去ってきた
車から降りると君の手を掴んで強引に歩いて行く
君は何も言わずについてきてくれた
まだ修理されていない、あの時の壊れた街灯の下
繋いだ君の手を強引に引っ張って
俺の腕の中に君を閉じ込めた
戸惑いを色濃く表す君の声
戸惑いを表す君の強張った身体
でも…俺を拒否する様子は感じられなくて
君を抱き締める力を強くする
突然の俺の行動に
暫くの間、立ち竦んだままだった君が
もぞもぞと俺の腕の中で動き出して
おずおずといった感じで俺の背中に手を回して
君も俺の身体を抱き締めてくれる
A「…何か…あったの？」
櫻井「…………」
A「…こうしてるだけで…いい、の…？」
櫻井「…………」
A「…翔、くん…？」
櫻井「……ん…？」
A「私にしいて欲しいことある？」
櫻井「…うん…」
A「出来る事があったら何でも言って？」
君が望まない俺の想いに気が付かない君が
男の欲望に火を灯す言葉を簡単に吐き出す
『君の特別になりたい』
心の中で色々と思っていても
君に言えるはずのないことばかりで
『そんな事、簡単に言うんじゃねぇよ』
君に苦情を言うことも叶わなくて
櫻井「…………」
何も言えずにいると
A「翔くん…遠慮しないで、言って？」
君が言葉を重ねる
櫻井「…男にさ…そんなこと言っちゃダメだよ？」
A「え？」
櫻井「俺…男だよ？」
A「うん、男の人だよ？」
櫻井「…力ずくで、何かするかもよ？」
A「ふふ…翔くんは、しないでしょ？」
櫻井「…………」
A「私、翔くんのこと、信用してる」
君の信頼を得ることができたのは嬉しい事だ
でも、警戒して欲しい
そう匂わせた俺の言葉は君に届かなかった
わかってたことなのに
すごく辛くて…苦しくて…
認めたくなくて…
悪あがきだってわかってたけど
君の身体を強く…強く…抱き締めた
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さとみか(プロフ) - はじめまして。しばらく更新されていらっしゃらなかったので待ち焦がれていた更新についコメントを残してしまいました（；＿；）夜桜さんの書くお話が大好きです。お忙しいとは思いますが、これからも楽しみにしています。 (2018年1月26日 18時) (
レス) id: ff0f8b6ad6 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - soraaさん» お返事が、大変遅くなり、申し訳ございませんでしたm(__)m更新も、滞っており、重ね重ね、申し訳ございません＾＾；；ドキドキできましたか？そういっていただけると、とても嬉しいです♪更新スピードは上がらないと思いますが引き続き、よろしくお願いしますm(__)m (2016年3月7日 16時) (レス) id: f4d923564a (このIDを非表示/違反報告)
soraa(プロフ) - 初めまして。昨日、このお話を見つけて一気に読みました。切ないけど、ただ抱きしめあうだけでもドキドキします。翔くんの想いが通じるといいなと祈りながら読んでます。続き楽しみにしています♪ (2016年2月28日 21時) (レス) id: e7c909fbb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜
| 作成日時：2015年4月22日 19時
