064 予想外の展開１ ページ15
約束の時間ぴったりに客人はやってきた
客人といっても俺にとっては両親
実家を出てからも実家には帰っているから
会うには会っている
会うことに緊張は感じない
両親を…母さんを…
騙そうとしていることへの心苦しさ
『後悔はしない』
そう君に言ったのに
少しの躊躇いの気持ちが俺に緊張をもたらす
俺の緊張をフォローしてくれたのは君
あんなに緊張していたのに
その緊張を微塵も感じさせず冷静だった君
申し分のない礼儀作法を披露してくれたし
控えめだけど話題を欠かない会話で
両親を楽しませてくれた
両親はそんな君のことを
とても好ましく思ってくれたようだ
俺が見つめる先
君と母さんが台所に立って
楽しそうに話し込みながら水仕事をしている
柔らかな笑みを浮かべる君
その君の横で
母さんも同じように柔らかな笑みを浮かべていて
何か言葉を交わしている
君と母さんとの間に
何度か言葉のやりとりがあって
君が恥ずかしそうに俯いてしまう
離れていてもわかるほど
赤く染まる君の頬と耳
何言ったんだよ…
そう思いながら母さんを見つめれば
呆れた表情というか
当てはまる言葉のない表情を浮かべた母さんが
俺をちらっと見やる
すぐに小さく笑いながら俺を指さす
なんだよ…わけわかんねぇことすんなよ
母さんを睨んでみても
効果は全くと言っていいほどなくて
平然としたままの母さんが君にまた何かを囁くと
俯いていた君が顔を上げる
顔をほんのりと赤く染めたままの君が
恥ずかしそうに柔らく微笑む
そんな君の腕を母さんが優しく撫でながら
また、何か言葉を交わしている
母さんの言葉に頷いたり、首を横に振ったりと
君が反応を返すけど
君と母さんの会話は聞こえなくて不安が募る
今日の君の様子を見る限り
君が失敗をすることは無いと思うけど
母さんが君に何を言うのか
その言葉を聞いて君がどう思うのか
そういう不安が拭えなくて
君と母さんのことを
じっと見つめながら観察していると
父さんの声が急に聞こえる
父「そんなに心配か？」
櫻井「え？」
父「母さんを信じてないのか？」
櫻井「そうじゃねぇけど…」
父「そうか…」
声を掛けてきたのに黙り込まれて
どうしたんだろうと思って
君に向けていた視線を父さんに向けると
真剣な眼差しを宿す目に囚われる
初めて見る眼差しに戸惑いながらも声を絞り出す
櫻井「父さん…？どうしたの？」
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さとみか(プロフ) - はじめまして。しばらく更新されていらっしゃらなかったので待ち焦がれていた更新についコメントを残してしまいました（；＿；）夜桜さんの書くお話が大好きです。お忙しいとは思いますが、これからも楽しみにしています。 (2018年1月26日 18時) (
レス) id: ff0f8b6ad6 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - soraaさん» お返事が、大変遅くなり、申し訳ございませんでしたm(__)m更新も、滞っており、重ね重ね、申し訳ございません＾＾；；ドキドキできましたか？そういっていただけると、とても嬉しいです♪更新スピードは上がらないと思いますが引き続き、よろしくお願いしますm(__)m (2016年3月7日 16時) (レス) id: f4d923564a (このIDを非表示/違反報告)
soraa(プロフ) - 初めまして。昨日、このお話を見つけて一気に読みました。切ないけど、ただ抱きしめあうだけでもドキドキします。翔くんの想いが通じるといいなと祈りながら読んでます。続き楽しみにしています♪ (2016年2月28日 21時) (レス) id: e7c909fbb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜
| 作成日時：2015年4月22日 19時
