隠し撮り ページ26
『ちゃ〜!Aです!本日は私の彼氏と私の今まで見せていなかった真剣な部分を見せていこうと思います。』
今日は私もカンタも編集日。せっかくだしプライベートを全捨てして行こうと思う。
『私には彼氏と友達の知義くんによく言う合言葉があるんですけども、″客観視レポート下さい″って言う言葉なんですね。これは何か落ち込んだ時とか、自分の仕事に迷いが出た時に客観的に見た自分を2人に教えて貰ってじゃあここを改善しようとか、ここは私の長所だなとか考え直す時間があるんですよね。それを今日彼氏にしてもらうっていう所を皆に見せようと思います。やってこうね。』
カメラを片手にリビングに入ると既にカンタは編集をしていた。
『後で撮影していい?』
カ「いいっすよ、今します?部屋行っときましょうか?」
『いや、ちょっと企画練る。』
カメラを3脚に固定してソファーにうつ伏せで寝転がる。今のところカンタはカメラに気付いていないらしい。
『ん″〜〜〜〜』
私が唸り声を上げて調子悪いアピを始めると、パタンとパソコンを閉じる音が聞こえた。足音が近寄り私の背中にそっと手が乗っかった。
カ「体調悪いっすか?」
『ううん、悪くない...』
カ「んー、しんどそうですよ〜?」
ソファーの下に腰掛けたのか、彼の手が優しく私の背を撫でる。
『...客観視レポートを申請します』
カ「あー、その時期ですか...なるほど...」
もそもそ起き上がると心配そうに笑うカンタ。ぽんと隣を叩くと彼もソファーに腰掛けた。
カ「モノマネですか?演技?バラエティー?」
『バラエティー』
カ「え、最近めっちゃ調子良さそうですけどね?」
『んー、やっぱ露出が増えると批判が増えるよね』
カ「昨日の番組も俺めっちゃ笑っちゃったもんな」
『ほんと?ちゃんと出来てた?』
カ「Aさんは完璧主義過ぎるから気になるんだと思うんすよ、その代わり完璧主義過ぎるからこそモノマネが出来るじゃないすか。」
『あなたはいつも私を完璧主義って言うよね』
カ「いや、Aさんしっかり完璧主義なんすよ笑」
頭を抱えるとカンタは笑いながら背中を撫でてくれる。
カ「えー、珍しいっすね?こんな下がってんの。」
『最近全然面白いこと言えん』
カ「それはAさんの笑いのセンスが磨かれてるってことじゃないすか?だから自分に厳しくなってんすよ。」
『私に甘いからそう思うんだよ』
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作者名:ぴあ | 作成日時:2022年7月22日 20時