【七つの大罪】原罪の歌姫〜序章〜

白雪姫の悲しみ〜Snow White grief 〜 ページ24

むかし、ある国のある城で

ひとりの赤子が生まれました。

赤)「オンギャー！」

国)「おぉ！生まれたぞ！」

妃)「まぁ。なんて可愛らしい子なの…?」

赤子は『エリザベス』と

名付けられ、

雪のように白い肌、血のように赤い頬と唇から

『白雪姫』

という愛称でも呼ばれるようになりました。

彼女の生誕に

国王とお妃さま、

白雪姫の二人の姉

『マーガレット』と『ベロニカ』は

喜びました。

べ)「やったぁ！

　 私にも妹ができたぞー！」

マ)「ベロニカ。

　 エリザベスが起きてしまうわ。

　 静かに。」

妃)「ふふっ。よかったわね、ベロニカ。

　 あなたもお姉さまになれて。」

しかし、

幸せな日々は続きませんでした。

エリザベスの一歳の誕生日を

むかえる前に

流行り病によって

お妃さまが亡くなられてしまったのです。

マ)「お母様…。そんな…。」

べ)「うわぁぁん！!

　 お母様ぁぁぁっ！」

エ)「…おかあさま?」

国王と三人の娘は悲しみにうちひしがれました。

そして、その一年後…

エリザベスが二歳の時に

国王が、新しいお妃さまを迎えました。

新しいお妃さまは

名を『ビビアン』といい

この世で一番の美しいと

噂のお妃さまでした。

国)(これで娘達も寂しくはないだろう…。)

安心したかのように、

国王は病にふせてしまいました。

そして

まるでその時が来るのを待っていたかのように

ビビアンが本性を現しました。

ビ)「ふふっ。馬鹿な国王…。

　 あなたの事なんて愛してなんかいないのに。

　 私が欲しかったのは、

　 巨万な富と私の事を『美しい』と言ってくれる

　 男達よ…。」

ビビアンが愛していたのは

自らの『美しさ』でした。

ですから、

その時ビビアンよりも

美しかった

二人の姉は

男達の目に映らないように

城の地下室に軟禁されてしまい、

必要のある時以外は出られませんでした。

しかし、まだ幼子だった

エリザベスは姉達の説得もあり

情けをかけられ、

召し使い同然のように扱われましたが

軟禁はされませんでした。

エ)「…ねえさま。

　 ひっく。ひっく。」

マ)「泣かないで、エリザベス。」

べ)「私達は大丈夫だから。」

病にふせてしまった国王。

軟禁されてしまった二人の姉。マーガレットとベロニカ。

召し使い同然のように扱われているエリザベス。

そして、自らの美しさを

愛しているビビアン。



―――『白雪姫』は悲しみの底にいました。

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