俺だけの天使。３

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「そうなんかなあ。
亮、俺とおると苦しそうやねん。
ほんまに嫌われたんちゃうかな思う。
俺、なんかしたんかな。
嫌なことしたんなら、教えてくれたらええのに。
亮、言うてもくれへんねん」


話してるうちに、
ぽろぽろ泣けてきた。


泣いたらあかんて、
鼻をすすって、綺麗な月を見る。


「ヤス、泣くなやあ。
お前はほんまに泣き虫やなあ」


すばる君が、
手のひらで、
頭をわしゃわしゃしてくれて。

ちょっとだけ、
気持ちが落ち着いた。




「俺んちで茶でも飲んでけ」


すばる君が言うてくれて、
お言葉に甘えることに。


こんな気持ちで、
一人の部屋に帰れる気がせえへん。


すばる君ちは、
俺んちの目と鼻の先にある。

こう言っちゃなんやけど、
築数十年のオンボロのアパート。

歩く度、階段がミシミシ言う。


なんでか俺が実家出た去年から、
それまで住んでた、
ええマンション引き払ってまで、
ここに住み始めた。

理由は知らんけど、
すばる君て、ちょっと変わってるからな。

この部屋には、
凡人には分からん良さがあるんやと思うわ。



ギターとレコードだらけの部屋に着いたら、
さっきコンビニで買うたらしい、

みたらし団子と緑茶を渡してくれて。


さっとカーテンを開けてる。


「ちょっと早いけど月見や」


「ありがとお」


温かいお茶飲んで、
ふうっと一息ついたら、

さっきまでは悲しい一辺倒やったのに、
亮に対して、怒りの感情が湧いてきた。


俺、断じて、なんも悪いことしてへん。

美羽ちゃんのことかって、
きっぱり断ってんし。

やのに、あんなに怒ってさ。


「亮はそんなに美羽ちゃんが好きなんかな。
普段、あんなに悪口言うてるくせに。
好きな子が俺に気ぃあるからって、
絶交とか、小学生よりひどない？
もういい。
亮なんか、俺の方が知らんわ。
会社でも勝手に孤立したらええねん。
もう亮なんか、亮なんか・・・」


感情、もうぐっちゃぐちゃ。


「ヤス、お前、亮が怒ってる理由、
ほんまにそんな事や思てんの？」


涙でぼろっぼろの俺に、
すばる君が、心底呆れたように聞く。

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