俺だけの天使。３

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「章大先輩、今はご近所さんですもんね。
この前は、トカゲが出た時、助けてもらって、
ほんと助かりました」


「ああ、ヤモリな。
俺はなんなら、飼いたいぐらいやから。
いつでも言うてな」


ヤモリ？

ヤモリが出て、

この女の部屋に上がったん？


そんな話、聞いてへんし！


「自分、ヤモリなんか、怖いん？
嘘やろ。
ぶりっ子してんちゃうん？」


むしゃくしゃして、つい、
思いっきし、不機嫌な声出してもうた。



「そんなあ。ぶりっ子なんてしてません。
本当にトカゲ、怖いんですぅ」


こいつ、ほんまの策士や。


さりげなく、章ちゃんの手ぇに触って、
しなだれかかる。


でかい胸がまたゆさって揺れた。


「亮、言い方考え。
女の子なんやから、ヤモリとか怖いんも、
当たり前やんか」


「嘘つけ。
ヤモリなんか怖いわけないやろ」


いやいやいやいや。

俺もほんまはデカイのはちょっと怖いけど。


「それにええ大人やんけ。
女の子いうんは、高校生までじゃ」


あかんあかんあかん。


頭ん中で、
警笛が鳴りまくってんのに、


暴言が止まれへん。


「錦戸先輩、ひどいです。
章大せんぱぁい」


坂下美羽が嘘泣きして、

でかい雌牛のような胸、
章ちゃんの身体にこすりつけよった。


「もう飯、いらん。
食欲無くなった。
俺、帰るわ」


ほんまは腹の虫が、
きゅるきゅる鳴いてるけど、
引っ込みつけへんなってもうて。


千円札、鉄板の淵に叩きつけて、
勢い良く立ち上がる。


あんまり急いだせいで、
立ちくらみしたけど、なんとか堪えた。


座敷降りて、革靴履いて、
暖簾をくぐって。


地下鉄の駅、目指して駆け出す。


駅に降りる西口の階段降りようとしたところで、


「亮！待てって！」


章ちゃんに追いつかれて、
腕、掴まれた。


「なんやねん、あん言い方。
後輩の女の子に暴言吐いて泣かすやなんて。
いくら亮でも、見過ごすわけにいかん」


「離せや！」


「嫌や。
亮がちゃんと謝るまで」


章ちゃんの澄んだ目が、ゆらゆら揺れてる。

このなんの濁りもない綺麗な瞳の中に映る俺は・・・


まるで、嫉妬に狂った魔物のよう。


掴まれた腕が熱い。

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