俺だけの天使。３

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亮side


バンって勢い良く会議室のドアを開けてみたら、
なんと、坂下美羽に、章ちゃんが襲われかけてるとこやった。


「お前っ、章ちゃんから離れろやっ。
女からでも今はセクハラなるねんからな！」


よう見ると、
章ちゃんのズボンは、
太ももんとこに、
コーヒーのシミがくっきり付いてる。


あざとい、この女に、
わざとかけられたに決まってるねん。


「章ちゃんはコーヒー飲まれへんねんぞ。
苦いもんは苦手やねん」


坂下美羽を威嚇して、
押しのけた後、


「章ちゃん、火傷してへん？
大丈夫？」


章ちゃんに聞く。


自分でも、信じられへんぐらい、
甘い声が出た。


昨日、あんな啖呵切ったくせに、
カッコ悪いけど・・・


「火傷はしてへん。
大丈夫。
美羽ちゃん、もう帰ってええで。
データの復元も出来たし、
コーヒーのことは気にせんといて。
こんなん、部屋着みたいなもんやし」


章ちゃんの冷静な声に、
はっとなる。

俺、今、気持ち抑えきれずに、
めっちゃ彼氏ヅラしてもうたよな？


あああ。

もうほんま、後悔。


「でも章大先輩、私、」


まだごにょごにょ渋って、
俺に帰れビームを発射してる坂下美羽に、


「俺、ちょっと亮と大事な話あるねん。
ごめんけど、外してくれへん？」


章ちゃんが、はっきり言うてくれた。


坂下美羽が悔しそうに、唇噛んで、
俺をギッて睨んで、
会議室を出てった。


けど、坂下美羽のヒールの足音が遠のいて、
聞こえへんなっても、
章ちゃん、何も話し出さへんねん。


休日のオフィス。

静寂の中に、気まずい空気だけが流れてる。


すばる君はあんなこと言うてたけど、
章ちゃん、やっぱ俺に怒ってるねん。

もう謝るしかない。

仲直りしたいねん。


「章ちゃんっ！ごめんっ！」


思いっきり、頭を下げたけど、
章ちゃんはまだ、珍しい仏頂面で、

椅子に座ったまんま、
俺のことをちらっと上目遣いに見ただけ。


「章ちゃん、ごめんな。
ほんまにごめん。
俺、めちゃくちゃ反省してる。
あんなひどいこと言うて・・・」


「・・・」


章ちゃん、黙ったまんまで、
俯いてしもた。


表情さえ分かれへんなって、
余計に焦る。


とにかく許してもらわな。

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