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美羽ちゃんが迫って来て、
仰け反ってるうちに、
デスクに腰が当たった。


もう逃げ場あらへん。


どないしよう。


「好きです、章大先輩」


言いながら、抱きついてきて。


「ちょ、待って!」


焦ってるうちに、
瞬殺で、唇、奪われてしもた。


そん時、背後で、
バサバサって音がして。


振り返ったら、
落ちた資料を必死で拾ってる亮の姿があった。



さっきの、見られた?


「亮、早退したんちゃったんか?」



慌てて、駆け寄って、
資料拾うん、手伝う。


「亮、これって・・・」


今度、俺が担当することになった、
ショッピングモールの情報、
簡潔にまとめてくれてある。


亮、チームから外されたのに、
手伝ってくれるつもりやってんや。


最後の一枚に触れた時、
お互いの指先がかすった。

もっと距離近いことなんか、
今までなんべんもあったのに、

たったそんだけで、ドキって、
胸が波打ち始める。


亮の長い指先に、
俺の手、さっと、はらいのけられて、
ズキンて、今度は鋭い痛みが走った。


「こんなもん、いらんか。
邪魔やったら捨ててや」


せっかく拾った資料、
ぐしゃぐしゃにして、
俺の胸に押し付けて、

急に立ち上がって、走ってってもうた。


その顔は強張ってて、
怒ってる、いうか、傷ついてる、いうか。


めちゃめちゃ複雑な表情で。


不安でいっぱいなって、
慌てて追いかける。


もうすっかり、美羽ちゃんのことなんか、
頭から抜け落ちてた。


「亮!どうしてん!
なんで逃げるねん!」


エレベーターけえへんから、
イライラして、
非常階段を降り始めた亮の細い手首を掴む。


亮はこっちを振り返りもせずに、


「ヤス、さっき、
坂下美羽とええ雰囲気やったやろ。
俺、邪魔者やん」


不機嫌にそう言うだけ。


「別にそういうわけちゃうで」


「俺に遠慮なんかせんでええって!
どうせヤスも、坂下美羽のこと好きなんやろ」


やっとほんのちょっと、
こっち向いた亮は、泣き出しそうな目をしてた。



やっぱり美羽ちゃんのこと・・・

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みき(プロフ) - きみくんと章ちゃんのを読み返させてもらいました!章ちゃん素直で甘えたで可愛すぎます!きみくんも甘々で(*/∀\*) キュンキュンしっぱなしです!foolさんの作品は何度も何度も読みたくなります〜♪♪また定期的に読み返したいですー!! (2020年11月29日 22時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - うつせみの、君と でご返信ありがとうございました!こちらのtornちゃんも読ませて頂いてました♪天邪鬼な亮ちゃんが、亮ちゃんで可愛くて♪foolさんの作品は本当にどれも心情がとっても伝わってきます! (2020年9月25日 15時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮 - 天の邪鬼亮ちゃん降臨(爆)個人的にはヤスくんと亮ちゃんのお話が大好き(笑)二人とも不器用だからなぁ。。(笑)くっついてくれて良かった(笑) (2020年9月22日 16時) (レス) id: 59853f2783 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 天邪鬼な亮ちゃん、可愛かったです(*^^*) ありがとうございました♪ (2020年9月19日 19時) (レス) id: 3389004d8b (このIDを非表示/違反報告)
yume.no.(プロフ) - ついに終わっちゃいましたかー!最終的にはかっこいい大倉くん、ありがとうございます!!終わってしまうのが寂しいです!また別のお話も読ませていただきますね♪ (2020年9月19日 12時) (レス) id: 979f5b0d6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool | 作成日時:2020年3月23日 22時

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