俺だけの天使。３

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きみくんside


カッコつけて、
章大のちっこい手を引いて、
コテージの階段、上りかけたところに。


「丸なんか知らん！」


そんな泣き叫ぶ声が聞こえた、
途端に、

ものすんごい勢いで、
大倉くんが階段を駆け下りてきた。


「大倉、どうした？
喧嘩したん？」


章大の意識が泣いてる大倉くんの方に行ってまう。

それは寂しい。


「丸が悪いねんっ。
丸なんかっ、大っ、嫌いやっ！！！」


「大倉、ちょっと落ち着き」


狭い階段で、
ただでさえ、ぎゅうぎゅうやのに、
大倉くん、座り込んでしもて。


章大、優しいから、
その隣に座って、
話聞いてやろうとしてる。

しっかりと繋いでた指も、
離れてしもた・・・


俺、心、狭いんかな。

章大の大倉くんへの気持ちは、
友情やて、
ちゃんと分かってるつもりやけど・・・

それでも、どうしてもあかんねん。

もやもやして、
胸が塞がれそう。


「丸、ずーっと怒ってるねんで？
こーんな怖い顔して。
俺、なんも悪いことしてへんのにっ。
そんでなっ、
いきなし、強引に・・・」


そこで、大倉くん、
ぶわあって子供みたいに泣き出した。

どないするねん、この子。

丸のヤツ、恨むわ。


途方に暮れかけた時、
二階でドアがパタンと閉まる音がして。

丸が階段を降りて来た。


「たつ、ちゃんと話そ。
俺が悪かったから。
落ち着いて、」


優しい声で言いながら、
大倉くんの肩に手を置いた瞬間に。


「嫌やっ。
話なんかないっ！
俺、もう帰るから！」


大倉くん、
その手を振り払って、
階段、駆け下りて。

コテージを飛び出してこうとしてる。


「たつ！こんな夜中にどうやって帰るねん！」


俺らの間をすり抜けて、
丸が追いかけてった。


丸のこんな真剣な表情、
滅多と見られへんで。


玄関の扉が乱暴に閉まる音の後。


「大倉、大丈夫かな」


章大が、
心配そうに言うて、
階段降りかけるから。

思わず、その手をきつく握りしめてた。


「丸がおるから大丈夫や」


「うん、そやねんけど・・・」


「そんなに大倉くんが気になんの？」


また、女々しいセリフが出てまう。

嫉妬心て、どうやって抑えんねやった？

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