俺だけの天使

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前の俺なら気付かへんかったかもしらん。


けど、ほんまに大切な人が出来た今なら、
分かるねん。


「淳太、今日は国立大にロケ行ってます」


俺の言葉に、岸さんの顔色変わった。


「そうですか」


胸のざわめきがこっちにまで伝わってくる。


その横顔も、大毅にそっくりや。


淳太が大毅に一目惚れした理由は分かった。

けどそれって、
この人の代わりなんちゃうかな。



それ以上、岸さんと話すこともなく、
撮影が始まった。


カメラ越しでも、
ドキッとなるほど、
大毅に似てるねん。


今頃、淳太、大毅と会うてるんよな。

あかん。

今は集中せな。


記者さんのインタビューに答えて、
それがまた、今回のドラマのテーマに沿って、
恋愛観について。


自然と大毅のこと思い浮かべながら、
話してた。


はよ会いたい。

今すぐにでも。

昨日の夜も会ったのに、
自分でもおかしい思うけど。


なんか、気持ち、止められへん・・・



　



撮影が終わって、
マネージャー君に、


「ご自宅で良いですか？」


て聞かれて。


「ごめん、今日は・・・」


大毅の大学の近くまで送って欲しいて、
言うてしもた。


「中間さんに会いに行くんですか。
仲良いですね」


あんまり深く詮索されずに済んで、ほっとする。


「うん、まあそんなとこ」


答えながら、


神山大毅、何時に終わりそう?
俺、仕事、早めに終わったから迎え行ってもええ?


これじゃあ、
めっちゃ束縛してる彼氏よな。


送信してから思ったけど、

何気ない言葉なんて、思い浮かぶほど、
余裕がないねん。


既読はすぐについたのに。


移動中、なんべんもスマホ確認しても、

大毅からは、なんの連絡もない。


まだ仕事中かな。

淳太と一緒やんな？


また口説かれたりしてへんかな。


大学の裏門に横付けされた車。

騒ぎになったらあかんから、
学生がおらんか、
窓の外を確かめた時。


大毅と淳太が並んで、
向かいの通りを歩いて行く姿が見えた。


え・・・


俺のライン既読なってたのに・・・


頭が真っ白になってく。


「ごめん。降りるわ。
お疲れさん」

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