俺だけの天使

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手のひらに、冷たい金属の感触。

はっと驚いて、神ちゃんを見たら。


「部屋で待っといてや」


俺にだけ聞こえるように耳打ちして、

いたずらっ子みたいな顔して、
にちゃって笑う。


急展開についていかれへん俺が、
ぽかーんとしてる間に。


「じゃあな！シゲ、後でな！」


それだけ言い残して、
メンバーが待つ車へと、駆けてってた。


ぎゅっと鍵を握りしめる。


あかん。

気ぃ入れとかんと、
ほっぺたが勝手に、へらあって緩んでくる。


「重岡先生、
神山くんとそんなに仲良いの？
ていうか、
なんで教えてくれないの？
それにしても可愛かったわあ。
さすがタレントさん。
さりげない表情なのに、
見せ方分かってるっていうのか。
きゅんきゅんきたわ」


美和さんの興奮度が凄まじい。

けど、言うてることには、
ほぼほぼ同意。


「ほんまに。
あの笑顔はずるいっすよね」


つい深くうなずいてしもてるやん。


「え、重岡先生ってそんなこと言うんだ。
大丈夫。
飾らなくても、
重岡先生も十分、リアルアイドルっぽいから」


「なんすか、それ」


「さっ、ご飯行こう」


「用事あるんすよ」


「嘘つき」


あかん、逃げられへん。

神ちゃん、助けてやあ・・・



仕方なく、ご飯だけ付き合うことに。

そんで、

散々飲んで、
酔っぱらって寝てもうた美和さんを、
タクシーに押し込んで、

なんとかかんとか逃げてきた。


もう１０時や。






神ちゃんの部屋には、
何回か遊びに来たことあるねんけど。

合鍵で入るって、
はじめてのシチュエーションに
ドキドキ。


俺ん部屋とは違って、豪華なマンション。

インテリアもめちゃめちゃお洒落やねんで。


靴脱いで、
部屋入ったところで、


神山智洋ごめん。
遅なりそうやねん。
先にお風呂入っといて。
あ、俺の着替え、使うてええで?
眠かったら、寝といて。
ほんまにごめんな?


そんな連絡きて、ちょっとしょんぼり。

会いたくて、会いたくて、

気が狂いそうやってん。


神ちゃんは、いつも余裕あるように見えて、

俺ばっかり好きなんかなあって、

時々不安になる。

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