俺だけの天使 ２

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てっきり外に出てご飯や思うてたのに、
河本先生、研究室を見たいて言いはる。

この前も見学来てもらってんけどな。


「お寿司でも取ろうか」


「僕はいつもの中華丼かラーメンで良いです」


「遠慮しなくて良いから」


強う言われて、断られへんかった。



宅配されて来た、特上のお寿司。


窓辺の、一つしかないソファに、
河本先生と並んで座って、


「頂きます」


同棲記念にって、
ともが頼んでくれた以来や。

とも、

「大毅、そないに美味しいん？
俺の分もあげるから、焦って食べんでええよ」


言うてさ、
俺んこと、にこにこして見てたっけ。


ともは俺を喜ばせようって、
いつも考えてくれてる。

俺はその半分も返せてないのに。


俺なんか、そもそも恋愛偏差値底辺やし、
ええ加減、飽きられるんも仕方ないって、
頭では分かってる。


この地味で宇宙バカの俺の人生で、
誰かに愛し愛されることが、
もうイレギュラーな事で。


その相手が、初恋の神山くん、
みんなのアイドルの神山智洋って。


こんな幸せ、俺には分不相応やもんな。


再会してからの、
この半年、俺は夢を見てたんかもしれへん。


「重岡くん？
お寿司、食べないの？」


河本先生の声にハッとした。


もうずっと頭の中は、とものことだけ。


ともの気持ち、理解しようとしてへん、て、

ともに言われた。


あの言葉だけが、
頭ん中ループしてるねん。


ともは何が嫌なんかな。

俺の何が・・・


思い当たる事ばっかし。


料理の味付けも、
部屋の片付けも、
洗濯のやり方も、
きっちり丁寧で、
おまけに仕事早いともと違って、
ひたすら雑いし、

本読み出したり、
論文書き出したら、
ともの声全く聞こえへんし、

一緒に映画見てても、
別の方向に考えが飛んでしまって、
感想言い合う時に噛み合わへん事あるし。

あ、とものライブ映像、
ともの前で見るのも嫌がられるっけ。

けど毎日でも見たいし・・・


ごめん、ごめん、ごめん。

とも、ごめん。


あかん、河本先生の前やのに・・・


「重岡くん、泣いてる？」


「お寿司、美味しくて」


「そっか、そっか。
好きなネタある？
僕の分も食べて良いよ？」

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