俺だけの天使 ２

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焦ってる俺のとこに、
ひらひらとなんか落っこちてきた。


「わああっ、何するねんっ！」


焦って、キャッチしようとしたら、
俺の手のひらに落っこちて来たんは、
単なるタオル。


「あ、落としてもうた。
取りに行くから待っといて」


マジで何やねんっ。



家入られたら嫌やし、
タオル持って、わざわざ玄関前で待機してやる羽目に。


エレベーターが開いて、
悪びれもせん、流星が降りて来た。


「望、ごめんな」


「全然ごめんて思てないやろ、はい」


タオル突き返したら、
受け取った流星が、

反対に、ちっちゃな箱を俺の手のひらに握らせてきた。


「何これ」


「ピアス。
望、気に入った顔してたやん」


「どんな表現やねん」


昨日、ショップで見てて、
一個めちゃくちゃ気に入ったやつ、あったにはあったけど・・・

流星、見てた？


箱の中身が気になってしゃあないけど。


「受け取る理由がない」


「あるやん。欲しいやろ？それ」


「いらん」


「ええから付けてみて。
絶対に似合う。
デザインから関わって，
望の好みだけを考えて作ってん」


「はあ？
勝手に恩着せてくんなし」


「別に恩は着せてへん。
付けてるとこ見たいだけ」


「付けへんしな。
話、そんだけ？
俺、午後から仕事やし」


「うん、俺も一緒の仕事やで」


流星の会社のCMの打ち合わせとは聞いてるけど。


「社長自ら打ち合わせ来んの？」


「当たり前やん。
社運を賭けた大事なCMやのに。
イメージ通りやないと困る」


「ふーん」


ピアスの箱、突き返して、
ドアに手をかける。


「望、一緒に現場行こ」


ヤツはめげへん。


「行かへん。俺、濱ちゃんと行くねん」


「なあ、濱田さんと付き合うてるって嘘やろ？」


「なっ、なんでそう思うんっ？」


声、ひっくり返ってもうた。


白状してんのと、一緒やん・・・


その時、隣の濱ちゃんの部屋の中で、
玄関のドア開けるような、ガチャって物音が聞こえて。


やばいって、本能的に感じて。


咄嗟に流星の手を掴んで、
非常階段に身を隠してしもた。


何やってんねんて、ほんまに。


俺らには気付かず、
エレベーターに乗り込んでく濱ちゃんを、

非常階段に座り込んで、
息を潜めて見てる。

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