俺だけの天使 ２

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２０１２年７月号。


誌面の俺らは、
ほんまに楽しそうに笑ってる。


キスした後の俺は、動揺してて、
上手く出来そうになかってんけど。


流星が、トンって、背中叩いて、


「大丈夫や」


あの緩い緊張感ないトーンで言うてくれて、

それで、すうっと、設定の世界へと入って行けた。


元はと言えばあいつのせいやねんから、
お陰って思うんも、おかしいけど。


やって、唇、一瞬触れた後、

あたふたしてる俺のほっぺた、手のひらで包んで。


「望って、全部、ももいろやな。
ももいろ天使や」


ふって、笑って言うてんで？


流星、時々、脈絡ない、
訳分からんこと言うの、得意やねんけどさ。


この、ももいろ天使発言は、

この後、何回もあってんな。


俺イコールももいろ？


もはや、意味不明やしな。


それから、
やけにピンクが気になるようになってしまった。

weststarsでのメンバーカラーもピンクやし。


ピンクの衣装を着る度に、

あいつの呪縛を思い出す。


ももいろに罪はない。


敵は藤井流星ただ一人や。














・・・胸がざわついて、あんま眠られへんかったし。


くそ。


あいつに振り回される自分が一番嫌いや。


寝ぼけた頭で、何とか、目覚まし止めて。


そっからの記憶があんまない。


次に目が覚めたんは、インターフォンの音。


「うわああっ！！！」


跳ね起きて、床に転がってる目覚ましを拾い上げる。


「なっ、なっ、９時っ？！」


終わった。


今日は神ちゃんと一緒のロケやねん。


何ならもう、現場に着いてなあかん時間やって！


とりあえず、
部屋着の上にジャケットだけ羽織って、
家のキーを取る。


タクシー呼ぶ時間も惜しい。

駅まで猛ダッシュするしかないか。


なんで車の免許取っとかへんかってん。

ほんま、俺、あほ過ぎる。


パッとドアを開けたら、
そこに流星が立ってる。


「おはよ、望。
俺、この真上の階に引っ越して来てん。
挨拶に来た」


「今、それどこちゃうねん」


「寝癖ついたまんまやで？」


「流星の相手してる暇ないねんてっ」


「もしかして遅刻しそうなん？」


「もう遅刻してんの！」


「どこまで行くん？俺、車で送ってこか？」

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