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てすいのう02(kn) ページ7

いのうぐんぱろ
異世界シマ寄りです

ふーーーん！と奇声かかけ声か判断の付かない声をあげた青年、コネシマ隊長は鮮やかな金髪を煌めかせ1人の兵士に叱咤激励をかける。頑張れよ、お前ならできるわ！とありきたりな言葉さえコネシマ隊長が言うと真剣に不可能も可能になるのではとさえ兵士は思い、そして兵士たちは思った。
飽和と掃射(シノニムセイム)。1を他に適応するその異能はなかなかどうして戦闘だけでなく大衆扇動にも役立っている。彼が1人の兵士を奮い立たせれば他の兵士も同様に奮い立つ。戦場での精神の持ちようは馬鹿にならない要素であり、コネシマ部隊の常勝に一役買っている。ただコネシマ部隊の常勝の中枢はそこかと言えばそうではなく、単純なコネシマ隊長の対集団への戦闘力にあった。

「ふーん！！おいしい！！！」

先陣を切った兵士たちを潜り抜け彼の剣が敵兵を絶命させると、その近辺の全ての"敵兵"が同時に絶命した。

「これが飽和と掃射(シノニムセイム)や！」

倒れ伏す敵兵の中1人立った彼は鼻を鳴らして次の標的へと駆け抜ける。空色の双眸が、鮮やかな金糸が煌めく度に数字として見なされた敵が散っていく。最早彼1人がこの戦場を支配していた。勇気付けられた彼の兵士たちはその後に続き、少数派の掃討を行い始めていた。しかしその中で新任であろう兵士何人かが恐怖で立ち止まる。畏れの目を向ける彼らにコネシマは快活な笑みで微笑んで、

「戦場怖いの？それとも異能が怖いの？」

無邪気に首を傾げて聞いた。どちらとも答えられない彼らが脂汗を流すとコネシマはバンバンと1人の兵士の背を叩く。

「まー気持ちはわかんけど動くしかないで！！やないと、効率を落とす部品と見なされてまうからな！アッハッハッ！」

コネシマ隊長に効率を落とす部品と見なされたら、数字になってしまったら、どうなるのか。
ひ、と情けない声を漏らした兵士は次々と前へ進み出した。
言いようのない恐怖から逃げながら兵士の1人は思う。この人は少数の犠牲を厭わない、だがそれだけが恐怖じゃない。既に自分らを数字として見なしている、部下という数字としか見ていない、と。
彼らは大衆扇動のときに気づくべきだったのだ、そして、覚悟すべきだったのだ。

敵が全て消え失せた戦場で、コネシマは1人笑う。

「もう終わりか？まー俺の手にかかればこんなもんよ！」

その笑顔の裏に、果たして心はあるのだろうか。