(テストですか) (ページ39)

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しゅうさくページ39

さしあたってすとーかーの続きを書きたいのでリハビリなど

※本編とは関係ないです

トントンくんは真面目だ、と私は思う。私だけでなく学校の人達も皆、彼は口を揃えて真面目と評価する。その評価は正しいのだろう。こんな状況ですら教科書を開いているのだから。

「…ドア、開かない、ね」
「おん」

彼の生返事の後、刺さるような沈黙が流れる。
校庭の端にある倉庫、そこに私たちは閉じこめられていた。頼まれた片付けを終わらせた後ドアを引き、ガタガタと虚しい音を立てたときになって漸くその事に気がついた。
出られない事が判明した後にもトントンくんは不気味な程冷静で、「誰かが来るまで待とう」と来週末にテストがある教科の勉強をし始めた。

「人、来ないね…」

私はトントンくんほど冷静ではいられず、不安からいらない言葉を零してしまう。彼はまたどこか遠い返事をした。

トントンくんは、なんとも思っていないのだろうか。
私と彼の関係はひとことでは言い表せない。けれど、

けれど？

何を期待しているんだろう、私は。
甘さなんて、ある訳がないのに。

「…なあ、」
「…！え、えっと、…どうした、の？」

不意打ちのような呼びかけに思わず声が震えた。
先程まで教科書に向き合っていた瞳が、余すところなくこちらに向けられていて、

「さっきも言ったけど生徒会のメンバーが放課後使うからすぐ開くと思うで」

そうとだけ告げると、彼の視線はまた教科書へ戻った。

ゆっくりと、無意識に入っていた肩の力を抜く。無駄に焦っていても仕方がない。ちら、とトントンくんの方を伺うと、やはり何事もなかったかのようにページを捲っていた。
…どうして、このタイミングでそんな事言ったんだろう。もしかして、なんて考えてしまう。

「…早く、出たいな。」

ぽん、と本が閉じられる音がした。次に、乾いた足音。それを認識したときには、私は既にトントンくんに抱き寄せられていて、

「え、」
「そんなに俺といるの、嫌なん？」
「…！あ、え、と…」
「残念やわあ、僕たち、恋人同士なのに悲しいなあ」

優しく彼の手が私の頬を撫でる。反面、表情は氷のように冷たかった。

「あ…ご、ごめんなさい」
「なんで謝るん？」
「そ……その…」
「なあ、悪いと思うんなら他にやることあるんちゃう？」
「っ！」

トントンくんの瞳が、こちらを射竦めるように見つめる。

選べる選択肢なんて、ひとつしか無いのに、

私はぐっと背伸びをして、彼の唇に、触れた。