6. 逆立場的なんとか ページ6
あの後会社に有給を使って休む連絡を入れて、一息ついた後すぐに私は眠りについた。
逃げないように、と言ったら風邪のあんた放って逃げへんよ、と苦笑いで返されたのを覚えている。
が、しかし、再び目覚めると寝室に居た二人は消えていた。じわじわと不安が背中を這い登ってきたが無視し、ゆっくりとベッドから降りる。冷たいフローリングって気持ちいいな。
よし、あんまり頭は痛くない。多分倒れる事もなさそう。
そう思いリビングへ出たが、リビングにも灯りはついていなかった。他の部屋やトイレ、お風呂も一応覗いてみたがいない。再びリビングに戻ると机の上に書き置きを見つけた。
”少し出かけてくる、すぐ戻る”
多分あの二人のどちらかが書いたものだろう。日本語書けるんだと少し当たり前のことを思いつつ時計を見るとお昼過ぎだった。途端にお腹が空いてくる。
冷蔵庫の中を覗くと、1つ減って2つになったプリンが目に入った。あれ、いつの間にプリン食べたっけ？
「とりあえずこれ食べよう。」
スプーンを取って机にプリンを置いた瞬間に、アパートのドアがガチャリと開く音がした。
「ただいま、Aさん」
気を使った小さめの声が玄関の方から聞こえてきた。
多分トントンかな？大きめな声で「おかえり」と返すとリビングにトントンが早足で来る。両手にエコバックを抱えておりまるで主夫のようだ。
「なんで起きとるん？まだ安静にせなかんよ」
「ごめん、お腹空いちゃって」
「ああ、今ちょうど買ってきたで。それでグルさんは？」
「え、起きたらいなかったよ？」
「あいつ…」
トントンの眉間に皺がよる、が、一つため息をつくとキッチンへ向かった。
「俺がご飯つくるから、Aさんはベッドで休んどって。」
「わかった。いろいろありがとね、トントン。」
言われた通りにベッドに戻り少し待つとお盆に水と薬そしてほかほかと湯気が出たお粥を載せたトントンがやってくる。
「ほい、こんなんで良かったらできたで。作ってから言うのもなんやけど、Aさんお粥食べられる？」
「大丈夫だよ。作ってくれただけでも助かるし。」
「いやいや、病人は放っておけんから。…ええと、自分で食べられる？」
「食べられない、って言ったら食べさせてくれるの？」
「！ あー、えっと、そやな…」
「食べさせて欲しいな！」
「………アッハイ。恨むで、Aさん」
トントンはまたため息を深くついた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 519人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
身長100m - いや。普通に大好きです。結婚しましょう (2021年1月3日 14時) (
レス) id: baba500277 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ(プロフ) - 頑張ってください…いつまででも待ってます (2020年3月6日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ゆっ家族 - もう、うるっときちゃったじゃないですか。何ですかこの作品。最高すぎます。こんなの、評価満点以外選べないですよ。設定も、物語の進み方も、全部好きです。呪いのことやメンバーとの関係、過去についても惹かれるものばかりです。これからも応援しています (2018年5月12日 11時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃよーるど(プロフ) - ミーさん» 再びコメントありがとうございます〜！ 完全に趣味で月光を選んだのでイメージが伝わって何よりです笑 やっと仲直りです、が、だいぶ展開が遅いと思いますので期待せずお待ちください、、 (2018年4月14日 22時) (レス) id: 50cd7cd971 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 更新ありがとうございます。月光を弾くグルさん…!想像しなくても優美な感じがしますね(笑)仲直りをした主とグルさんがこれからどうなってくのか楽しみです(^-^) (2018年4月8日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふぃよーるど | 作成日時：2018年3月10日 19時
