4. 目は口ほどになんとやら ページ4
ぺた、と額に冷たさを感じて意識が浮上してくる。身体中がだるくて、目を開けることさえ身体が反旗を翻している。ずっとこのふかふかのベッドで寝ていたくなる。
あれ、いつのまにベッドで寝ていたんだろう。
「Aさん…まだ起きへん…」
幸いにも正常に働いていた耳が、聞き慣れない…けどどこか懐かしいような、心配そうな声を届ける。
ぼんやりと薄目を開けると、そこには、
「……だ、誰…？」
七三分けの濡れ羽色の黒い髪に眼鏡をかけた青年が居た。光の反射で眼鏡の奥はよく見えない。しかしカーキ色のどこかの国の軍服と、赤いマフラーが私の部屋に居ることのアンバランスさを物語っていた。
彼はこちらを見るとほっとしたように肩の力を抜く。
「あ、Aさん、起きたん？良かった…」
「どちらさま、ですか…？なんで名前を知ってるんですか…？」
「！ ええっと、その…すまん、もう出てくから！」
青年が慌ててガタッと立ち上がった瞬間、眼鏡の奥の、赤よりももっと紅いその瞳と目が合った。
その瞳は、まるで、
「トントン？」
「っ！……もう、出てくから…俺らの事は忘れてな」
そう言って背を向けて立ち去ろうとする青年。
「トントン、待て！」
犬の時から聞いていただろうその言葉にビクリ、と反応した彼は、呆れ顔で振り返った。
「Aさん、俺、犬やないで？」
「そうなのかもしれないけど、待って！なんで人間なのかとか、そういう理由説明しなくてから、まだトントンたちと離れたくない！」
慌てて身体を起こして叫ぶように言う。きん、と頭の奥が痛み、またふらり、と身体が傾いた。
「Aさん！」
優しく抱きとめられる感覚。ふ、と顔をあげると、ぎゅっと目を瞑ったトントンの顔が目の前にあった。慌てて正面から抱きしめたせいでトントンもベッドの上に乗るかたちになっている。
恐る恐る、という感じで目を開けたトントンと目が再び合う。と、同時に、トントンの顔が茹で蛸のように真っ赤になった。そこからコンマ数秒でバッとトントンが離れる。
「あのっ、これは！ちゃうねん！すまん！」
「大丈夫、ありがとね、トントン。」
なんか犬のときと雰囲気違うなあ、と感じながら、いつもの癖でトントンの頭を撫でる。
なにかを言おうとしていたトントンはそれで完全に固まってしまった。
「あー、お取り込み中のところすまんが、」
「俺たちのこと、説明したいんだが、いいか？」
寝室の入り口から、落ち着いたバリトンボイスが響いた。
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身長100m - いや。普通に大好きです。結婚しましょう (2021年1月3日 14時) (
レス) id: baba500277 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ(プロフ) - 頑張ってください…いつまででも待ってます (2020年3月6日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ゆっ家族 - もう、うるっときちゃったじゃないですか。何ですかこの作品。最高すぎます。こんなの、評価満点以外選べないですよ。設定も、物語の進み方も、全部好きです。呪いのことやメンバーとの関係、過去についても惹かれるものばかりです。これからも応援しています (2018年5月12日 11時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃよーるど(プロフ) - ミーさん» 再びコメントありがとうございます〜！ 完全に趣味で月光を選んだのでイメージが伝わって何よりです笑 やっと仲直りです、が、だいぶ展開が遅いと思いますので期待せずお待ちください、、 (2018年4月14日 22時) (レス) id: 50cd7cd971 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 更新ありがとうございます。月光を弾くグルさん…!想像しなくても優美な感じがしますね(笑)仲直りをした主とグルさんがこれからどうなってくのか楽しみです(^-^) (2018年4月8日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃよーるど | 作成日時：2018年3月10日 19時
