28. 貴方の感情は ページ28
ふわり、と新たな紅茶の香りが室内を満たす。
「これで体も暖まるでしょう。」
そう言って慈母のような笑みを浮かべる彼はしかしどこからどうみてもヤのつく自由業の方だった。
*****
「ウチの店の前で立ってないでぜひ中も見てってください」
振り向くとそこには黒髪に黒いサングラス、カッチリとした黒スーツの青年が傘を差し出していた。
「あ、はい、ごめんなさい…」
反射でそう返事すると近いとは言い難い距離のお洒落な外観の店に連れ込まれる。
その瞬間ふわりと広がる優しい香り。どうやらここは紅茶のお店のようだった。
ただただ困惑していると横から差し出されるタオル。え、と間抜けな声が出た。
「はいどうぞ。よければ使ってください。」
「いえ、申し訳ないので大丈夫です」
「ではその分ウチで買い物をどうぞ」
ニコリと微笑んでタオルを押し付けたその人はカウンターにあるポッドでお茶を淹れ始めた。
「あの、あまり紅茶に造詣が深くないのですが」
「今試飲用を淹れているのでそちらの席でお待ちください。」
指し示された方を向くと小さな喫茶スペースが目に入る。
完全に彼のペースに乗せられているのはわかりながらも店内を濡らすのも申し訳なく、タオルで水滴を取り椅子に座って彼を待ち、
そして冒頭に至る。
「紅茶、ありがとうございます」
差し出されたカップに手をつけられないでいると、目の前に座った彼は口を開いた。
「それでお嬢さん、なにしてはったんです？」
「あ…」
目を背けていた事に向き合わされる。あの冷たい目、衝動で吐いた言葉。
「お嬢さん？」
「…ごめんなさい、言えないです。でも謝らなきゃいけない事をしました。」
何を口走っているのだろう。自分の甘えを誤魔化したくて紅茶に口をつける。
「…美味しいです。」
「良かった。ではお茶請けに私からひとつお話をよろしいでしょうか？」
「はい…？」
「人間が悩みに直面した後には、2つの時期があるそうです。最初に来るのは感情を受け入れて欲しい時期。その後が悩みを解決したい時期です。」
「あなたは解決を急いていますが、悩みに直面したばかりのように見えます。なぜなら、感情の整理がついていないからです。」
「…でもまあ、感情の整理をするのは俺の役目やないみたいやな。」
「え？」
ガタッと乱暴に店の扉が開く。
「オスマン！頼みたい事があんねん！……ってAさん？」
入り口には両手に傘を持った全身ずぶ濡れのトントンが立っていた。
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身長100m - いや。普通に大好きです。結婚しましょう (2021年1月3日 14時) (
レス) id: baba500277 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ(プロフ) - 頑張ってください…いつまででも待ってます (2020年3月6日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ゆっ家族 - もう、うるっときちゃったじゃないですか。何ですかこの作品。最高すぎます。こんなの、評価満点以外選べないですよ。設定も、物語の進み方も、全部好きです。呪いのことやメンバーとの関係、過去についても惹かれるものばかりです。これからも応援しています (2018年5月12日 11時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃよーるど(プロフ) - ミーさん» 再びコメントありがとうございます〜！ 完全に趣味で月光を選んだのでイメージが伝わって何よりです笑 やっと仲直りです、が、だいぶ展開が遅いと思いますので期待せずお待ちください、、 (2018年4月14日 22時) (レス) id: 50cd7cd971 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 更新ありがとうございます。月光を弾くグルさん…!想像しなくても優美な感じがしますね(笑)仲直りをした主とグルさんがこれからどうなってくのか楽しみです(^-^) (2018年4月8日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃよーるど | 作成日時：2018年3月10日 19時
