14. 掴んで、その先 ページ14
「どういうこと？」
「…Aは、俺たちのために生活を切り詰めていただろう。
俺たちが人間になって生活し始めたらもっとお前に負担がかかる。それが嫌だったんだ」
「気づいてたんだ…」
何も気づかずにリビングで通帳と睨めっこしていたのが恥ずかしくなってくる。
「でも、無理にこういうところで働かなくてもいいんだよ？」
「身元がわからないやつを雇ってくれるところは他には無いだろう、それにまあ…無理に働いてる訳でもないから心配するな」
「そっか、…いろいろ考えてくれてありがとう。」
「もっと感謝していいゾ」
「なにそれ笑」
思わず笑ってしまう。ぴんと張り詰めていた空気が柔らかくなっていく。
「なんかさ、グルッペンってあまり感情とか、考えてる事がわからなかったし、嫌われてるのかと勝手に思っちゃってた、ごめんね」
「俺がお前の事を嫌う訳ないだろう。むしろ……まあ、なんだ、好き、だ、…ゾ？」
「あはは、ありがとう」
グルッペンの言葉に安心して、久々に手を伸ばして頭を撫でてみる。するとグルッペンは驚いた後に急に真剣な表情になった。
「この手は、飼い犬であるグルッペンに向けられているのか？」
「え？」
ぐっ、と手首を掴まれる。
「先程お前は俺を人間だ、と言っただろう？」
「じゃあ、この手はなんだ？」
「えっと…」
自然と伸ばしてしまった手の意味を言う前にグルッペンの顔が迫る。
うっすらと顔に朱が指しているのは酔いのせいなのか、それとも、これは、
「なあ、俺を人間として、…一人の男として見てくれ。
飼い犬と、飼い主の関係では足りないんだ。」
「そんなの…」
「そんなの、何だ」
言葉を紡ごうとした瞬間に、
ぽんっ
というコルクが抜けたような小気味のいい音がして目の前が薄く光り眩む
「………えっ」
視界を取り戻すと目の前には、不服そうな表情をした一匹の
「…なんてタイミングだ」
「えっ、犬の状態で喋れるの！？」
「ああ、一応はな。すまない、今日は先に帰ってくれないか。店長に話したい事がある。」
そう言ってすたっ、と床に降り、奥へ歩いていくグルッペン。
残された私がぽかん、としているとスーツの人が近づいてきて、
「グルちゃんがすみません！！今日はお会計は結構ですので、というかグルちゃんとならいつでもタダなんで！すみませんが次回お越しください、本当すみません！」
考える暇も無いまま私は店の外に放り出されたのだった。
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身長100m - いや。普通に大好きです。結婚しましょう (2021年1月3日 14時) (
レス) id: baba500277 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ(プロフ) - 頑張ってください…いつまででも待ってます (2020年3月6日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ゆっ家族 - もう、うるっときちゃったじゃないですか。何ですかこの作品。最高すぎます。こんなの、評価満点以外選べないですよ。設定も、物語の進み方も、全部好きです。呪いのことやメンバーとの関係、過去についても惹かれるものばかりです。これからも応援しています (2018年5月12日 11時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃよーるど(プロフ) - ミーさん» 再びコメントありがとうございます〜！ 完全に趣味で月光を選んだのでイメージが伝わって何よりです笑 やっと仲直りです、が、だいぶ展開が遅いと思いますので期待せずお待ちください、、 (2018年4月14日 22時) (レス) id: 50cd7cd971 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 更新ありがとうございます。月光を弾くグルさん…!想像しなくても優美な感じがしますね(笑)仲直りをした主とグルさんがこれからどうなってくのか楽しみです(^-^) (2018年4月8日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃよーるど | 作成日時：2018年3月10日 19時
