30. 払えますか ページ30
半ば強引に手を引かれ店を出て大通りを歩く。既に雨は止んでいたが、冷たい風が頬を撫でた。
「…くしゅん！」
「Aさん大丈夫？俺の使いや。」
立ち止まり、どこか疲れたように微笑むトントンが自分のマフラーをほどいて巻いてくれる。
「ん…ありがとう」
「ええで、寒いし早よ家帰ろうな」
「……家、帰りたくないな」
わがままを言っているのはわかっている。でも今だけは家に、グルッペンがいるかもしれない家に帰りたくなかった。
そんな事を考えて俯く私に対して困ったようにトントンは言った。
「グルさんと何があったか知らんけど、いつかは向き合わなかんで？」
「…今は嫌だな。」
「うーん、でももう夜遅いし帰って寝なかんで？」
「じゃあトントン、お泊まりしよう？」
「お泊まり？えっ、ちょっとAさん」
今度は私が半ば強引に手を引っ張り近くのビジネスホテルに連れて行ったのだった。
*****
「いやなんでダブルやねん」
「お財布との相談の結果だよ」
「あぁ…ほんとすんません」
優しいトントンは結局私のわがままについて来てくれた。持ち合わせがなくてダブルなのは本当に申し訳ない。
とりあえず順番にお風呂は済ませたのだが、問題はその後だった。
「本当に一緒のベッドで寝る気なん…？」
「うん、犬のときもたまにあったし大丈夫だよ」
「風呂の時も言ったけど今は人間なんだよなあ」
「んーでもトントンは変な事しないでしょ？」
「せえへんけど…あ、俺犬の姿で寝ればええんか」
「え？1日戻れないんじゃないの？」
あ、とトントンが硬直する。
初めて彼らの人間の姿を見たときに、グルッペンがそう言っていた気がしたけど…
「あれはな、グルさんが咄嗟についた嘘なんや。」
「嘘、ついたの？」
「ああでも、それは俺のせいやと思う。グルさんは迷惑かけず犬に戻るべきやって言っとったんやけど、俺がAさんが目覚めるまで看病したいってゴネてな。」
「グルッペンが、犬に戻るべきって？」
「おん、…多分やけど、離れたくなかったんやないかな。」
「……」
「グルさんがAさんの事を考えてるのは確かやで。」
「…それなら、あんな目しない。」
グルッペンを信頼しているトントンはきっと言ってもわからない、その事に何故か苛ついてしまって
「本当にそう思うなら、グルッペンがずっと犬のままでいてくれたら良かったのに。」
言ってはいけないと思っていたのに出た言葉は戻らなかった。
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身長100m - いや。普通に大好きです。結婚しましょう (2021年1月3日 14時) (
レス) id: baba500277 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁこ(プロフ) - 頑張ってください…いつまででも待ってます (2020年3月6日 19時) (レス) id: f472df8b77 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ゆっ家族 - もう、うるっときちゃったじゃないですか。何ですかこの作品。最高すぎます。こんなの、評価満点以外選べないですよ。設定も、物語の進み方も、全部好きです。呪いのことやメンバーとの関係、過去についても惹かれるものばかりです。これからも応援しています (2018年5月12日 11時) (レス) id: 556657c7c7 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃよーるど(プロフ) - ミーさん» 再びコメントありがとうございます〜！ 完全に趣味で月光を選んだのでイメージが伝わって何よりです笑 やっと仲直りです、が、だいぶ展開が遅いと思いますので期待せずお待ちください、、 (2018年4月14日 22時) (レス) id: 50cd7cd971 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 更新ありがとうございます。月光を弾くグルさん…!想像しなくても優美な感じがしますね(笑)仲直りをした主とグルさんがこれからどうなってくのか楽しみです(^-^) (2018年4月8日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃよーるど | 作成日時：2018年3月10日 19時
