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-藍沢-
両角さんは亡くなった。
以前の怪我が原因だった。
「こんなところにいたのか。」
両角さんの手術結果をチームメイトに伝えた後、ヘリポートに向かうとそこには真津梨がいた。
「優輔くんのこと、気が抜けちゃってさ。ずっとここにいたの。」
元担当医としても優輔くんのことをずっと心配していたんだろう。
ドナーが見つかって気が抜けるのも当たり前だ。
「トロント大、やっぱり行かないの？」
その問いに頷いて、俺は真津梨の隣に座った。
「天野奏ちゃんのことで、そんなに思い詰める必要ないわ。」
「彼女は毎日リハビリに明け暮れてる。日常生活を送るためだけのリハビリだ。夢を追いかけるリハビリじゃない。このまま、俺だけが夢を追うわけには行かない。それに、」
俺は真津梨を見つめ、その手を握った。
「真津梨ともう、離れたくない。」
「…耕作。」
絶対にこの手を離さない。
そう決めた。
「私はね、夢を追いかける耕作が好きだった。」
真津梨は突然そう言いだした。
その横顔は夕焼けに照らされている。
「自分の技術向上のためならなりふり構わず突き進む。そんな耕作に惹かれたの。」
あぁ、思い出した。
俺が真津梨に想いを伝えたときも、こんな綺麗な夕焼けが真津梨を照らしていた。
「私もそうありたかったから、耕作を追いかけた。私の姿が見えなくなると、振り向いて戻って来てくれる。そんな耕作と一緒に歩いていきたいの。」
真津梨の切実な眼差しが俺を貫く。
「私は自分が技術を上げたいからドクターヘリ研修を受けた。でもね、本当の理由は子どもを堕したことから逃げたかったから。耕作にはそうなって欲しくない。天野奏ちゃんのこと、救命の人手不足のこと、私のこと、それを理由に逃げないでほしい。」
「…でも、」
「半年。たった半年よ。私は待ってられる。」
真津梨は優しく微笑んだ。
「それに、これもある。」
真津梨は右手の薬指に光る指輪を見せた。
「私は、耕作が好きよ。」
その言葉を聞いて、ここが職場だということも忘れて真津梨を抱き締めた。
「俺も、好きだ。」
柔らかい髪を指に通して、その隙間に見える首筋にそっとキスをした。
いつだって真津梨は俺の背中を押してくれた。
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金木犀(プロフ) - いのちのつづき、一気読みしちゃいました。劇場版のお話は書かないんでしょうか？ぜひ、書いて欲しいです (4月12日 18時) (
レス) id: c113e60c99 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ - 完結おめでとうございいます！お話が始まったときからずっと読んでいたので私も感慨深いです！お疲れ様でした！次も頑張ってください。 (2017年10月9日 0時) (レス) id: f1a6d9a1e2 (このIDを非表示/違反報告)
しゃち(プロフ) - あいかさん» あいかさん、コメントありがとうございます。無事に最終回を迎えることができました！ここまで応援してくださって本当にありがとうございます！番外編もありますので、もし良かったら覗いてくださいね。 (2017年10月1日 17時) (レス) id: 5d35c31aac (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - いよいよ最終回ですね！展開がかなり気になるので更新最後まで頑張ってください！ (2017年9月30日 21時) (レス) id: 1722f61193 (このIDを非表示/違反報告)
しゃち(プロフ) - あいかさん» あいかさん、コメントありがとうございます。あいかさんからの応援、本当に励みになります。次がいよいよ最終話！楽しみにしていて下さいね。 (2017年9月30日 14時) (レス) id: 5d35c31aac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃち | 作成日時：2017年9月28日 16時
