隣同士がいちばん自然 ページ31
隣同士がいちばん自然
「忠義。」
まさかこんなところで李々の声を聞くとは思わなかったけど、振り向いたらそこには李々がいて。
ここは京都なのに。
「…なんで、ここに？」
「なんか心配になっちゃって。」
李々はそう言って心配そうに笑った。
「あれ？李々じゃん！」
松岡くんが気付いて、李々の肩に腕を回す。
「なになに、どうしたの？」
「オフだったんで、遊びに来ちゃいました。」
そのまま李々は松岡くんや東山さんに囲まれて、二人だけで話す間も無く、李々の実家の料亭でご飯を食べることに。
お酒も進み、松岡くん達も盛り上がってるしと俺は部屋から出て、中庭に出た。
「今夜は月が綺麗だね。」
空を見上げていた俺の後ろから李々がやってきた。
「松岡くん達はええの？」
「スタッフさんと話してるから。」
李々はそう言いながら俺の隣に立つ。
遠くで賑やかな笑い声が聞こえる。
「大丈夫だよ。」
李々はそっと俺の手を握る。
「忠義の戻ってくる場所は私が守ってるから。」
昨日の電話で漏らした弱音。
"俺、ここでやってけるかな。"
それを聞いてここに来てくれた李々の手を握り返す。
「大丈夫だよ。」
李々は全部分かってる。
松岡くんも東山さんも優しく接してくれるし、スタッフさんだって支えてくれている。
だけど、どうしようもなく不安な気持ちを。
きっといなくなった李々を探しに誰が来る。
それまでは、
「そばにおってくれる？」
俺は李々の耳元でそう言ってから唇を重ねた。
ー隣同士がいちばん自然
(君がいないとだめなんだ)
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5LDKの裏話的な
お題配布元::確かに恋だった
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作者名：しゃち | 作成日時：2016年10月26日 12時
