女の子の日 ページ21
女の子の日
「おはよー。」
お、今日は珍しく俺が一番乗りだな。
そう思いながら楽屋のソファーに座ろうとしたとき、
「…わおっ…！！」
ソファーに上半身だけ寝そべっている李々がいた。
「何してるん。」
「…忠義、お腹いたい。」
目も開けずに眉間にしわを寄せてそう言う李々にすぐにピンと来た。
月に一度の女の子の日や。
「よしよし。」
俺は隣に座って李々の腰を撫でる。
男だらけの家庭で育った俺は最初この現象に驚いていたが、李々のおかげで今では対応にも慣れたもんだ。
「おっはよー！パーン！」
そこに朝から元気いっぱいのマルが入ってきた。
「あれ、李々どうしたん。」
いつもなら律儀にパーンと返す李々がダウンしていたことに首を傾げて近寄って来たマルは俺が腰を撫でていることに気づいて李々の頭を撫でた。
「なんかあったかい飲み物買ってくる。」
ありがと、と李々はマルの手を握った。
そして、飲み物を買いに行ったマルとすれ違いに入って来た年上3人はその様子を見て静かにそれぞれ椅子に座った。
しばらくしてマルと今来たであろうヤスが楽屋に入って来た。
「あったかいお茶買って来たで。」
マルが温かいお茶を渡すと李々は唸って受け取る。
「体起こして飲んだ方がええで。」
ヤスがそう言うので俺は李々の体を起こしてやり、乱れた前髪をヤスが整える。
「…あったかい。」
一口飲んだ李々は少し和らいだ表情でそう言った。
そこに亮ちゃんがきた。
亮ちゃんはおはようと言いながら李々を見て状況を理解したらしく、いつもなら李々とじゃれ合うのだが、今日はただ近くの椅子に座った。
「李々、」
亮ちゃんに名前を呼ばれると、きょとんと見返す李々。
「やるよ。」
亮ちゃんはそう言って乱暴に包みに入ったチョコレートを投げる。
「…投げないでよ。」
李々はそう言いながらも嬉しそうにチョコレートを口に運ぶ。
「悪かったな。」
亮ちゃんは悪態をつきながらも嬉しそうに笑う。
俺も次からチョコレート持ってこよう。
李々がお姫様になる日。
そうそれは、
ー女の子の日
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たまにはこういうのも。
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作者名：しゃち | 作成日時：2016年10月26日 12時
