【短編集】Life【wrwrd】

この世界にさよならを tn ページ42

ペンの先をカツンカツンと机にうちつけている我が国の書記長さん。

イライラでもしているのだろうか、あまり見たことのない表情で資料にむかっていた

私は彼にやる事がある、まぁこれで会うのもきっと最後になるだろう。

ぴょこっと彼の視界に入りさり気なく話しかける。

｢ん？今日は機嫌が悪いみたいだね。書記長さん｣

すると、眉間にシワを寄せこちらを向くトントン。

何も、何も変わらない日常。

私はこの楽しい日常に今日、幕を閉じなければならない

｢まぁな。色々あるんや、俺にも。｣

トントンは愛想笑いをし、また資料へと目を向ける

｢そういう時は糖分とろーな、はい。｣

私はぎゅっと下唇をかみ、手に握られていた飴玉を彼の口に無理やりねじ込んだ。

トントンはいきなりの事に対応出来ず、そのまま口に飴玉を含んだ

｢あっま…何これ。｣

私はにこりと笑った

バタっと大きな音をたてて、トントンは倒れる

｢ごめんね、ゆっくりおやすみ｣

これでさよなら、だ。



｢じゃあ、処刑するゾ｣

グルッペンさんが私の首の紐に手をかける


｢うん。ありがとうグルッペンさん、こんな奴の我儘きいてくれて…｣

私は不治の病にかかってしまったのだ。

この国の民にうつすわけにはいかない、それならば私が死んでしまえばいいのだ。

でも、トントンにはこんな苦しむ私の姿を見せたくなかった。

だから薬を使って一時の眠りについてもらったのだ

グルさんは悲しそうに笑って

｢…おう、またいつか…会えたらな。｣

と言った。

そんな悲しそうな顔しないでくれ、未練を遺してこの世を去るなんて嫌だ。

私はへらへらと笑い

｢グルッペンさんらしくないよぉ〜？サクッとやっちゃって下さい｣

とおどけたように言った

ぐっと紐に力がこもる、体が上手く動かない。

あぁ、これが死という奴なのか。

私はゆっくりとこの世から姿を消した

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