4話 ページ5
桜の降る季節になった。
魔法界に桜なんてないけど。
春。つまりナミの妹のラトラと幼馴染のレモンがイーストンに編入してくるのだ。
春休みは実家に帰省していたのでラトラとレモンに会い編入試験合格を聞いた。
レモンに婚約者ができたことも聞いて軽く失神しかけていた。
ナミは可愛い妹と幼馴染がイーストンに通うのを楽しみにしていた。
そして今日がその日だ。
「ナミ?体調悪い?大丈夫?」
同室で親友のエリーゼに心配されるレベルでナミの挙動がおかしかった。
「大丈夫。ちょっと緊張してるだけ。」
「緊張?……あーね。」
数日前にナミから妹達がイーストンに通うということを聞いていたエリーゼは察した。
(妹にはいい姿を見せようとしてるのかな。そういうところが好き。)
無表情だが内心はナミにキュンキュンしていた。
「1年と言えばレインも弟が進学してるらしいな。」
横で話を聞いていたマックスはレインに言う。
「……嗚呼。」
その話はあまりしたくないのかレインの眉間に皺がよっていた。
「めっちゃ嫌そうじゃん。ウケる。」
「顔怖い。…皺、跡になっちゃうよ?」
ハハッと笑うエリーゼとレインの寄せられた眉間をぐりぐりと押すナミ。
「やめろ。」
「あんま触っちゃダメよ!ナミ!」
照れて余計に眉間に皺ができるレイン。
ばっちい!と言いながらナミの手を拭くエリーゼ。
レインに失礼である。
「レインの弟くん、私の妹と幼馴染と仲良くなってたら嬉しいな。」
「…そうだな。」
嬉しそうに言うナミに対して、眉間の皺が消えたレインは優しく答えた。
「ナミの妹か……可愛いんだろうなあ。」
ナミオタクのエリーゼは、ナミの妹を想像しエリーゼお姉さんと呼ばせようかと考えていた。
「……お姉ちゃんもアリか。」
エリーゼが何を考えているのか分かってしまったマックスは、乾いた笑いを零していた。
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作者名:浅葱 | 作成日時:2024年3月21日 3時