Orange☆Kiss

9 ♪ 敵か、味方か ページ9

夕暮れの校内。

無駄に豪華な装飾の廊下で、私と彼ーーー

一ノ瀬トキヤは向かい合っていた。

「…なんで、私がもと作曲家って知ってるの？厳重に隠してたつもりだったんだけど」


トキヤ「私もそういう世界に関わっていたことがあったので…」

そう言うと、彼は目を不自然に逸らした。

んー…？何か隠してる…？

トキヤ君が隠していること……


「…ああ、そっか。確か双子のお兄さんが芸能人なんだっけ？」

HAYATO…とか言ってたっけ。

そう言うと、彼は困ったように曖昧な返事をした。


これ以上は突っ込まない方がいいかな…

そう思った私は、本題に入る。

「それはそうと、トキヤ君。さっき言ってたことなんだけど…」

トキヤ「レンの婚約者、という話ですか？」

話が早くて助かる。

「うん。あのね、それは…」

慌てて弁解しようとしたら、大丈夫ですよ と遮られた。

トキヤ「一部で囁かれている噂です。本気にしていませんよ。それに…」


続く言葉を待つ。

けれど、なぜだか嫌な予感がした。


トキヤ「ーーーですから」


トキヤ君の言葉に被せるように、窓の外でカラスが ギャアと鳴いている。



ーーー頭の中が、真っ白になった。

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